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アマガミ(特典なし)アマガミ/エンターブレイン <PS2>

C

 

 

 プレイ時間不明。
「オールコンプリート!」(32・34)出現済み。
1枚絵コンプリート。
イベント未コンプリート。
という状態で書いています。

中学生の時デートをすっぽかされた事でクリスマスにトラウマを持つ主人公、橘純一。
今年こそは楽しい聖夜にしようと一念発起する彼の6週間を描いた恋愛シミュレーション。

拍手[1回]


行動マップと会話モードという2つのシステムが本作の特徴である。
行動マップはマップ上に大量に配置されたイベントのうち好きなものを選んで行動に移すシステムで、選べる期間と選べる時間帯(朝・休み時間・昼休み・放課後)が決まっているイベントの賞味期限を切らさず、1日4回の行動をどう振り分けるのかがミソだ。平たく言えば、“その日その時間帯にできるイベントを全部表示するから好きなものを選びなさい”というシステム。

会話モードは9つの話題の中から女の子の好みに合った話題を選択するというもの。行動マップの会話マスを選択するとこのモードに入る。
1度の会話で5回の選択チャンスが与えられ、何回目の選択か・それまでにどの程度会話が盛り上がっているかで正解は変わる。うまく会話を運んで特別なイベントを発生させるのが目的だ。
簡単に言ってしまえば4/9の当たりを引くかどうかのくじ引きなのだが、女の子の好みを考えて話題を選ぶ読みと、せっかく当たったのに相手の気分が盛り下がってしまったりといったランダム性で楽しく仕上がっている。

行動マップにより本作は高い自由度を実現している。
従来のゲームが選択肢分岐程度の自由しかなかったのに対し、誰の・どのイベントを起こすのかがプレーヤーの任意になっており、またイベントを実行する事によって他のイベントが発生したり消滅したりという影響が一目でわかるため、狙いをもって行動できるようになっている。
異色の展開であるバッドエンドや涙イベントも、ヒロインを傷つける自由さえプレーヤーに委ねた本作の特色といえよう。

さて、自由度が高いと述べたが、それゆえに大事なイベントを見逃してしまったり、選択ミスでヒロインと修復不能な溝ができてしまったりといった事も当然起こりうる。
そんなとき役に立つのが“今朝に戻る”だ。これは名前そのままに、その日の朝に時を戻し全てをリセットする事ができるもので、さっぱりヒットしなかった会話も、断ってしまったデートのお誘いも、見つかってしまった浮気相手とのラブシーンまで全部なかった事にできる。
また、イベントが膨大だと再プレイしても見たい場面がなかなか見られないという事が起こるが、アマガミではメニューから好きなイベントを再生する事ができる(会話モードが再生できないのは残念だが)。
システム上の弊害をきっちり潰している点から本作の丁寧な作りがお分かりいただけるだろう。

環境面も全体的に快適で、既読・未読スキップの設定、メッセージ送りのスピード調整・音声が終わるまで待つかの設定も可。
BGMをレトロ調に変えたり、セリフの音声をピピピ音に変えられる遊び心も〇。

イラストは表情が変わるのはもちろん、主人公との距離の遠近や、ちょっとしたアニメーションと元気に動き回ってくれる。立ち絵の吐く息が白くなっているのを見た時は感心した。
ただ、口パクが早すぎであまりセリフに合っていないのと、やはり立ち絵を動かすだけなので違和感を覚える場面があるのは残念。
また、私だけが感じている事かもしれないが、1枚絵が全体的に崩れ気味な気がする。立ち絵と全然違う顔に見えるのだが…。

難点はボリュームが多すぎる事。
シナリオはごく普通の恋愛を描いたもので、繰り返し遊ぶにはやや辛い。スキルートとナカヨシルートも、イベントの内容こそ違えどやっている事は他愛のないいちゃつきなためヒロインをかなり気に入っていないと飽きる。
色々と波乱は起きるもののそれらは全て“高校生の日常”であり、ドラマティックな展開にも限界がある。
イベントどころかエンディングコンプリートですら、よほど熱心なファンでない限り作業同然のプレイとなるだろう(周回プレイのほとんどが既読文スキップの対象となる)。
ごほうびイベント・下校デートに見ても見なくても変わらないと言ってもいいほど簡略化されたものがあるものも×。

また、ゲームテンポの悪い部分があり、1日の終わりの高感度チェックと美也の一言(なぜか既読文スキップに入らない)、ほぼ無意味な日曜日は少々うっとおしい。
スキルートで浮気してる状態と一人に絞っている状態で、クリスマスデートが別テキスト扱いなのも難。ほぼ同じ内容なのだから既読スキップできるようにして欲しかった。

また、その作業量の多さと複雑なゲーム性が災いしたのか重大なバグが2つもある。
1つは、イベント中にとある選択肢を選ぶと隠しキャラクターのルートが消滅してしまうというもの。
これは非公式ではあるもののルートを復活させる方法が存在し、また選択肢自体を選ばなければ簡単に回避できるため、知識さえあれば困らされる事はない。上崎さんの告白を断って良いのは一度だけ、と覚えておけば楽。

もう1つ、公式には認められていないが、会話モードでの正解数(つまり会話モード内での既読文)が一定以上になるとセーブデータが破損し、完全に0から遊ぶしかなくなる事。こちらがかなり厄介で、遊べば遊ぶほどバグに近づくことになり、また自分がどの程度それに近づいているのかわからない。プレーヤー全員が水面下で接近する崩壊に脅えなければならないうえ、ゲームにはまった人ほど被害に遭いやすいという嫌がらせのようなバグ。一応、メーカーに問い合わせればデータを修復してもらえるそうだが、やはりワンランクダウン程度のマイナス要素である。

最後に…SFやホラーといった他ジャンルと組み合わせるのは当たり前、3D化してみたり音声に凝ってみたりとなんとか他作との差別化を図ろうともがくこの手のジャンル(あまり恋愛シミュレーションをやらない私がこんな事を言ってしまって良いのかという思いはあるが)においてアマガミは純粋に恋愛の楽しさを追及した作品である。
そのヒロインの物語をただ読み進めるだけで恋が実る予定調和的な結末ではなく、プレーヤーの行動がダイレクトに結果に現れるのがこのゲームだ。
浮気して相手を泣かせてしまうのか、一途に一人を思い続けるのか、上手に会話をして思い出をどんどん積み上げられるのか、要領が悪く単調な毎日を過ごすのか、上記した2つのシステムにより本作は恋愛のゲーム化に成功している。
相手をもっと知りたいと思わせる会話、何が起こるんだろうと期待しながらイベントを開くワクワク感、親密度によって様々な表情を見せるヒロイン、ただの高校生の恋愛をゲーム(あくまでも本物の恋愛の疑似体験ではなく、娯楽としてデフォルメされたゲーム)としてここまで魅力的なものに仕上げたのはアマガミ最大の功績と言っても良いのではないだろうか。

最後に、ものすごく個人的な意見なのだが、このシステムで推理物をやったらものすごくおもしろくなる気がする。
行動マップで事件解決の鍵となりそうな人物に接触し、会話モードで情報を引き出す。
怪しそうな人物に徹底的につきまとうも良し、広く行動して多くの人に聞き込みするも良しとなかなか楽しそうなのだが。

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おもしろい。

B
まあまあ。

C
標準ランク。人によってはB。

D
微妙。

E
読むのが苦痛なレベル。

F
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