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仔羊たちの聖夜(イヴ) (角川文庫)仔羊たちの聖夜/西澤 保彦

 

B

 

 

麦酒の家の冒険』に次ぐシリーズ4作目。個人的にはタックシリーズ最高傑作。おちゃらけた雰囲気で引き込み、それを一変させる解決編・真相の意外性・小説としての主題、どれも他より頭一つ抜きん出ている。

覆される事実と一気につながる伏線に大満足。鳥肌物の狂った動機もすばらしい。

ただ、あまりの重さに人を選ぶような…。ここまで哀れな被害者もなかなかいないだろう。

ちなみに幻冬舎から新装版が出ているが、個人的には角川版が好み。影山さんの絵がいい味出してるんだよねぇ。

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氷菓 (角川スニーカー文庫)氷菓/米澤 穂信

 

D

 

 

人が死なない日常の謎+学園青春ストーリー。

学校に絡められた謎や個性的な登場人物等そこそこおもしろいのだが、あくまで”そこそこ”止まり。

全体的に物足りない。冗談はつまらなくはないというレベルだし、日常だから奇抜なものは難しいのか解決には意外性が足りない。

カンヤ祭の由来は良かったが、タイトルにもなっている「氷菓」の方はイマイチ。

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鴉 (幻冬舎文庫)鴉/麻耶 雄嵩

 

C

 

 

トリック、犯人、どんでん返しと終盤で何度も驚かされた。それだけではなく、兄弟の関係や千本家の末路等ストーリーも悪くない。

ただ、読みにくい人名といい難解なオチ(私はネットの解説でやっと理解した)といい人を選ぶ。また、必要なのはわかるが村の掟などは正直読むのが面倒。

濃厚な内容で良くも悪くも人を選ぶ。推理小説に慣れており、がっつりと読書を楽しみたいという人にはおすすめ。逆に、推理小説をあまり読んだ事のない人や気楽に読書をしたい人は避けた方が無難。

ところで、196ページの「真っ赤になって」という表現に違和感を覚えるのは私だけだろうか?

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幻惑密室―神麻嗣子の超能力事件簿 (講談社文庫)幻惑密室/西澤 保彦

 

D

 

 

超能力の設定をややこしくしすぎた感あり。ふざけたような掛け合いは『彼女が死んだ夜』に比べると劣る。トリックもおもしろいけど、残念ながら読める。はっきり言って不出来。

一番の難点は説教くさい女性観。ギャグシーンにいきなりそんなもの持ってこられて共感できる人間がいるのだろうか。

ナイフが町に降ってくる』のストップモーションが出たのには思わずニヤリとしてしまった。

著作リストを見るとこれを境におもしろくなくなっちゃったんだよね、西澤さん…。

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K・Nの悲劇 (講談社文庫)K・Nの悲劇/高野 和明

 

A

 

 

ストーリーが非常に良くできている。

悩み苦しむ修平・磯貝の姿、戦慄させられる果波の行動。良く練られており予想外の展開で引き込んでくれた。

精神科・産婦人科について勉強になる点も○。

ただ、ラスト付近の久美の行動に納得がいかない。子供を守りたいのならばあんな事はしないのでは?

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クール・キャンデー (祥伝社文庫)クール・キャンデー /若竹 七海

 

C

これはうまい。見事にやられた。

中編小説なので”伏線が一気につながる”といったおもしろさはないが、上手にミスリードして意外な結末でしっかり落としている。

たった160ページでサクっと読めて、それでいてしっかり楽しませてくれる良質な作品。

ただ、小説的な楽しさはいまひとつ物足りなく感じた。

しっかし、字は大きいわ余白は広いわでこれボリュームはかなり少ないんじゃないだろうか?

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ナイフが町に降ってくる (祥伝社文庫)ナイフが町に降ってくる/西澤 保彦

 

D

 

ストップモーションの設定が秀逸。いつの間にか話が真奈中心から統一郎中心に移っているのもうまい。ふざけた感じの文章がよくできており、ギャグシーンも笑える。

とまぁ、途中まではなかなかおもしろかった。ラストがダメ。さすがにこれは読める。細かい部分まできちんと言い当てる事はできないが、なんとなく”こうじゃないの?”と思っていたのが真相だった。ミステリーでここまで簡単に読めるのは致命的。

時間牢、ナイフで刺された人々とシチュエーションが良かっただけに残念。

 

 

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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズ第五巻 上下巻2冊セット(5)ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(上・下)/J・K・ローリング(松岡佑子) <単行本>

 

D

 明らかにこれまでより物語の質が落ちている。他のシリーズ作はファンタジーとキャラクター物の合わせ技で引き込みラストでミステリーとして落とす高いエンタメ性を誇っていたが、今作ではオチがなく物足りないクライマックスとなってしまった。

上記したうちいまだ健在の二要素で楽しませてはくれるが(特に憎たらしい悪役を書くのは上手)やはり内容的にはシリーズ最低のできと言わざるを得ない。

あと、不要な場面をもう少し削れたように思う。

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慟哭 (創元推理文庫)慟哭/貫井 徳郎

 

C

 

 

残念ながらトリックが読めてしまった。が、それでも十分いける。

警察内の不協和音・怪しげな宗教・主人公の苦悩、ダークだが引き込まれる内容できっちり楽しませてくれる。

帯にもあるが、まさに”慟哭・練達・仰天”(私が入手したのは北村 薫さんの帯付だった)。

それだけにネタが読めてしまったのが残念でならない。最後で驚かせてくれればBランク物の力作だった。

 

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麦酒の家の冒険 (講談社文庫)麦酒の家の冒険/西澤 保彦

 

D

 

 

 彼女が死んだ夜』の続編。

登場人物がああだこうだと話し合っているだけなのに不思議とおもしろい。それだけキャラクターと謎に魅力があるという事なのだろう。思わず自分も一緒に考えてしまう。

途中で出される仮説が無駄ではなく部分部分でラストに活きているのも良い。

ただ、真相がねぇ…。これ穴がないか?ビールとジョッキはどう考えても多すぎだし、あそこでボアン先輩が振り切らなければどうなっていたのかという疑問も残る。

『九マイルは遠すぎる』の長編版を狙い、実際ここまでのものに仕上げる手腕は素晴らしいけど、エンタメとして見るとこのランク。

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白夜行 (集英社文庫)白夜行/東野 圭吾

 

B

 

 

主人公達は稀代の大悪党なのか、不器用な生き方しかできない哀れな人間なのか、第三者の視点で描かれた物語には二人の心理描写が存在せず、上記の判断は読者にゆだねられる。

私は前者としてこの物語を読んだが、”まさかそこまで酷い人間じゃないだろう”と各章で起こる悲劇に対して主人公達の工作を見事に信じ込み、結果として終盤で戦慄するというのを繰り返した。

長いが、その分スケールが大きく重厚な二人の人生を楽しむ事ができる。

ただ、謎が謎のまま終わったりする部分も少なくなく、スッキリと読み終えたい人には向かないかも。

蛇足だが、この分厚さは不便。分冊して欲しかったね。

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十角館の殺人 (講談社文庫)十角館の殺人/綾辻 行人

 

C

 

 推理小説の殿堂と言っても過言ではない作品。

そして誰もいなくなった』の日本版。ただし、あの作品が途中のサスペンス重視だったのに対し、こちらはオチ重視。

孤島で殺人事件が起きラストでどんでん返しという、ゴテゴテと飾り立てせずシンプルながらもミステリーとして抑えるところはきっちり抑えている。

ただ、新人だったせいもあると思うけど小説としてのおもしろみが薄いかな。読みやすいシンプルな文とも言えるが。

特に登場人物にいわゆる”オタク”っぽい人が多いのは好みが分かれるかも。

なお、新装版も発売されている。

 

 

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解体諸因 (講談社文庫)解体諸因/西澤 保彦

 

D

 

 

とりあえず、全編バラバラ殺人というユーモラスな発想に拍手。ありがちな話が多い推理小説で、こういったユニークな作品は歓迎すべき。”バラバラ殺人”という言葉と薄気味悪い表紙で敬遠する人もいるだろうが、作者があとがきで書いているようにブラックユーモアとして読める。

解体についてなぜ?どうやって?等の謎が出るがその答えは”こんなのあり!?”と良くも悪くも驚きのものばかり。

良くも悪くも、とはまったく予想できないという喜ばしい意味と、無理があるという両方の”こんなのあり!?”がこの短編集には存在するのだ。ちょっと当たりはずれがあるように感じた。

ラストですべてがリンクするのもちょっとややこしくしすぎた印象。

 

ちなみに、タックシリーズの1作目ではあるが、実質スピンオフに近い作品なので、読み始めるなら『彼女が死んだ夜』からにする事をお勧めする。 

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彼女が死んだ夜 (角川文庫)彼女が死んだ夜/西澤 保彦

 

B

 

 

笑える文章、謎の多い展開、そしてラストのどんでん返し。かなりの良作。

キャラクター小説としてもミステリーとしても非常に高い水準を誇っている。

 

謎解きに若干無理があるようには感じるが、”犯人が狙ってやったのではなく偶然そうなった”と考えれば減点する程の要素とは感じない。

なお、一応タックシリーズの2作目に当たる本作(1作目は『解体諸因』(だが、これから読み始めてしまって問題ない。

予断だが、幻冬舎文庫からも発売されている。個人的にはこちらの表紙の方が好み。

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そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー(清水 俊二)

 

C

 

 

時が経っても色あせない名作とはこういう物の事を言うのだろう。

脱出不能な孤島で次々と人が死んでいき、次は誰なのかと緊張し互いを疑い始める登場人物。こういった設定が推理物の典型となってしまった今ですら、この小説は変わらぬ魅力を発揮している。

  

全員の心理が読者に伝えられる神の視点にもかかわらず犯人がわからないというのも、王道の設定でこれだけ読ませる作品に仕上げるのも作者の技量のなせる業だろう。

ただ、トリックがちょっと地味だったかな…。正直、私の好みには合わなかった。


 予断だが、たしか日本語に訳す際アンフェアになってしまった部分が存在する。犯人当てを楽しむ類の小説ではないのが救いか。

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