B
『麦酒の家の冒険』に次ぐシリーズ4作目。個人的にはタックシリーズ最高傑作。おちゃらけた雰囲気で引き込み、それを一変させる解決編・真相の意外性・小説としての主題、どれも他より頭一つ抜きん出ている。
覆される事実と一気につながる伏線に大満足。鳥肌物の狂った動機もすばらしい。
ただ、あまりの重さに人を選ぶような…。ここまで哀れな被害者もなかなかいないだろう。
ちなみに幻冬舎から新装版が出ているが、個人的には角川版が好み。影山さんの絵がいい味出してるんだよねぇ。
D
超能力の設定をややこしくしすぎた感あり。ふざけたような掛け合いは『彼女が死んだ夜』に比べると劣る。トリックもおもしろいけど、残念ながら読める。はっきり言って不出来。
一番の難点は説教くさい女性観。ギャグシーンにいきなりそんなもの持ってこられて共感できる人間がいるのだろうか。
『ナイフが町に降ってくる』のストップモーションが出たのには思わずニヤリとしてしまった。
著作リストを見るとこれを境におもしろくなくなっちゃったんだよね、西澤さん…。
D
『彼女が死んだ夜』の続編。
登場人物がああだこうだと話し合っているだけなのに不思議とおもしろい。それだけキャラクターと謎に魅力があるという事なのだろう。思わず自分も一緒に考えてしまう。
途中で出される仮説が無駄ではなく部分部分でラストに活きているのも良い。
ただ、真相がねぇ…。これ穴がないか?ビールとジョッキはどう考えても多すぎだし、あそこでボアン先輩が振り切らなければどうなっていたのかという疑問も残る。
『九マイルは遠すぎる』の長編版を狙い、実際ここまでのものに仕上げる手腕は素晴らしいけど、エンタメとして見るとこのランク。
C
推理小説の殿堂と言っても過言ではない作品。
『そして誰もいなくなった』の日本版。ただし、あの作品が途中のサスペンス重視だったのに対し、こちらはオチ重視。
孤島で殺人事件が起きラストでどんでん返しという、ゴテゴテと飾り立てせずシンプルながらもミステリーとして抑えるところはきっちり抑えている。
ただ、新人だったせいもあると思うけど小説としてのおもしろみが薄いかな。読みやすいシンプルな文とも言えるが。
特に登場人物にいわゆる”オタク”っぽい人が多いのは好みが分かれるかも。
なお、新装版も発売されている。
D
とりあえず、全編バラバラ殺人というユーモラスな発想に拍手。ありがちな話が多い推理小説で、こういったユニークな作品は歓迎すべき。”バラバラ殺人”という言葉と薄気味悪い表紙で敬遠する人もいるだろうが、作者があとがきで書いているようにブラックユーモアとして読める。
解体についてなぜ?どうやって?等の謎が出るがその答えは”こんなのあり!?”と良くも悪くも驚きのものばかり。
良くも悪くも、とはまったく予想できないという喜ばしい意味と、無理があるという両方の”こんなのあり!?”がこの短編集には存在するのだ。ちょっと当たりはずれがあるように感じた。
ラストですべてがリンクするのもちょっとややこしくしすぎた印象。
ちなみに、タックシリーズの1作目ではあるが、実質スピンオフに近い作品なので、読み始めるなら『彼女が死んだ夜』からにする事をお勧めする。
B
笑える文章、謎の多い展開、そしてラストのどんでん返し。かなりの良作。
キャラクター小説としてもミステリーとしても非常に高い水準を誇っている。
謎解きに若干無理があるようには感じるが、”犯人が狙ってやったのではなく偶然そうなった”と考えれば減点する程の要素とは感じない。
なお、一応タックシリーズの2作目に当たる本作(1作目は『解体諸因』(だが、これから読み始めてしまって問題ない。
予断だが、幻冬舎文庫からも発売されている。個人的にはこちらの表紙の方が好み。
C
時が経っても色あせない名作とはこういう物の事を言うのだろう。
脱出不能な孤島で次々と人が死んでいき、次は誰なのかと緊張し互いを疑い始める登場人物。こういった設定が推理物の典型となってしまった今ですら、この小説は変わらぬ魅力を発揮している。
全員の心理が読者に伝えられる神の視点にもかかわらず犯人がわからないというのも、王道の設定でこれだけ読ませる作品に仕上げるのも作者の技量のなせる業だろう。
ただ、トリックがちょっと地味だったかな…。正直、私の好みには合わなかった。
予断だが、たしか日本語に訳す際アンフェアになってしまった部分が存在する。犯人当てを楽しむ類の小説ではないのが救いか。
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
×
エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。