C
最初は“痛い”止まりだったメンバーの負の面が、青木によってどんどん醜さを露呈させられていくのが圧巻。
彼女の語りが利根川を想起させるせいか『賭博黙示録カイジ』に近いものを感じていたが、ある感想で部員の面々を“持たざる者”と表現しているのを見て納得。
だが、あちらが成功の要因をどこまでも努力としていたのに対し、このマンガのそれは部外者(瞬は明らかに他の部員とは異なる存在として描かれている)に手を差し伸べてもらえたか否かでしかない。それがこの話の残酷な所。
C
キモいけどかわいい事をキモカワイイというが、こちらはかわいいようで気持ち悪い。 一見愛らしいホイホイさんだが、無表情で虫を殺し続けるその姿は結構不気味。
それとは対照的に感情豊かな登場人物達が織り成す物語はなんともほほえましい。
ただ、『貧乏姉妹物語』でも似たような事を書いたが、やはり1話に使うページ数が少ないと話しの内容も濃くできない(本作は基本1話1P)。おまけに1巻完結なので、(がんばってはいるが)その点さらに弱い。
B
“野球で騙し合い? バッターとピッチャーで球種を読み合うのか?”という素人の想像を遥かに超えたハイレベルな頭脳戦を繰り広げてくれる。
『賭博黙示録カイジ』のようにトリックで決着をつけるのではなく、きっかけを作り相手が泥沼にはまるのを眺めるようなやり口はまさに心理戦。
ただ、それが楽しめるのは4~10巻の間だけ。それ以前は長すぎるプロローグといった感じで、11巻からは騙し合いですらなくなってしまう。
あと、丁寧すぎる伏線で先読みできてしまう部分がちらほら。
D
設定はかなりありきたりだが、展開が斬新。
普通のマンガではありえない理由で、窮地に陥ったり、逆にやすやすと困難を乗り越えたりと予想がつかずおもしろい。
難点はどう見ても打ち切りなラスト。サバイバルというのは生き残るまでを描くもの(たとえ、生き残った先に別の困難があっても一つのシチュエーションは生存し区切りをつけている)なのだから、そういう意味では落第点を与えても良い作品(アリとの戦いはシチュエーションとしてカウントするには弱い)。
あと、最終回であそこまで読者を煽るのには悪意すら疑ってしまう。
ちなみにカバーが妙にエロイが本編にそういうシーンはほとんどない。
賭博黙示録カイジ(1~6)/福本 伸行 <再読:単行本→コンビニ版>
B
弱肉強食編・権謀術数編・高層綱渡り編・人間競馬編・常勝皇帝編・逆襲奴隷編を読了。
語りがうまく、絶望的状況での騙し合いに自然と引き込まれてしまう。
また、再読して気づいたが、まったくとまではいかないものの、おもしろさが色あせていない。主人公が勝つとわかりきっていても楽しめるバトル物のように、このマンガがトリックだけでなく"勝負"として魅せるものだからだろう。
ただ、やはり鉄骨渡りパートの失速感は否めない。頭脳戦でないのもさることながら、作中でカイジが言っているように奪い合いでないのが痛い。
あと、初期の利根川を見るに、絵は独特というより汚め。
C
『Variante ヴァリアンテ』の男版といったところ。
あちらが、心理描写に重点を置いていたのに対して、事件との戦いをメインにしている。また、こちらは適度にラブコメ的な日常の風景が挟まれ、読者を和ませてくれる。
ただ、終盤のあれやこれやは意外というより唐突に感じられた。
あと、最終巻で街の惨状がまったく描かれなかったのは残念。事件をスケールダウンさせてしまっているし、『ぼくらの』のキリエではないがやはり違和感を覚えた。
D
一般受けしそうにないマンガであり、『まだ旅立ってもいないのに』でも書いたように私はこういった作品を理解できない一般人である。
上記作品に比べると話自体のアクはそう強くない。わからない部分はあるものの、1つの話として意味は通っている。
絵は毎話テイストが変わるのだが、つかみとなる1話目が少々変わった絵でとっつきづらい。正直、最後まであのノリが続いたらEランクも検討していた。
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
×
エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。