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クラインの壺 (講談社文庫)クラインの壺/岡嶋 二人

 

B

 

 

「クライン2」によるゲームの描写は、いきなり話が変わるため別世界に放り込まれたように感じさせる。そういったSF要素で読者を引きつけつつ、行方不明者の発生という本筋を進めていく。特に目立った欠点のない良作。

オチが少し弱いのと、単行本ではあった”契約書の汚れ”がないのが残念な部分か。

もっともこの本を評価するにあたって”仮想世界に入るという今となってはありきたりになってしまった設定にも関わらずしっかり楽しませてくれる””単行本の初出が1989年にも関わらず古臭さを感じさせない”という二点を伝えれば十分かもしれない。それだけで本書がいかに優れているかという事がおわかりいただけるだろう。

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