Steins;Gate/5pb./ニトロプラス <Xbox360>
B
演出強化DLC適応済み
プレイ時間:49時間
実績:990
エンディング・アルバムコンプリート
TIPS数221/224
という状態で書いています。
フォーントリガーシステムが本作の特徴である。既存の選択肢会話をメールのやり取りに落とし込んだだけのなのだが、タイムトラベラーと一般人との齟齬についていちいち困惑させる描写を入れたりすることなく無視(返信なし)という手段が堂々と使えるのは大きい。
だが、ゲームシステムとして見るとプレイヤーが指定できるのは“メールの文面のどの単語に反応するか”だけなので予想に反するメールやこちらの意図と違う文章を送ってしまうことが少なくない。 シナリオ分岐が非常にわかりやすい作りの本作なのであまり不満は感じないが、紅莉栖ルートとトゥルールートだけは出現条件が同システムに依存するのでさっさと攻略サイトに頼ることをおすすめする。
シナリオについては……ちょっと期待しすぎたか。
時間物のおもしろさとは伏線回収の妙だと思うのだが、その辺りこのゲーム物足りない。
特に9章ラストで明かされるある事実。アドベンチャーゲームの周回プレイの仕方はいろいろあるだろうが、毎回はじめからを選ぶタイプの人は早々とそこに気づくだろう。
その後の展開も予想の範囲を超えないというか伏線が伏線としてむき出し(1周するたびに見せられる)なので、あまりカタルシスを感じなかった。
序盤の冗長っぷりもかなり酷い。主人公が『街 ~運命の交差点~ 特別篇』のパトリックダンディ並の変人なので非常にテンポが悪く、おまけに内容はオタクの掛け合いと笑うには少々辛い。
私はインターネットヘビーユーザーだと思う。作中に出てくるもので元ネタのわかるものも多かったしネットスラングに関してもTIPSなしで理解できた。が、はっきり言ってクスリともこないものが大半。紅莉栖の突っ込みは笑わせてくれるのだが、いかんせん序盤の彼女は借りてきた猫の状態である。
物語序盤を構成するもう1つの要素である科学的な解説も厄介だ。
先ほども書いたように本作は時間物なのだが、ご丁寧に現在提唱されているタイムマシンの理論について説明してくれるなど科学の話がかなり多く、専門用語については解説を付けてくれるとはいえ難解な部分が散見される。科学アドベンチャーシリーズと銘打った作品なのだからそこに文句をつけるのは筋違いかもしれないし、作品にリアリティを与えるのに一役買ってはいるのだが、おもしろさに繋がっているかというと私は微妙だと思う。
カットしてもいいだろうと思う部分も多く雷ネット翔のあらすじなどまさにその筆頭。もしかしたら伏線かもとしっかり読んだものの何の関係もなく、内容自体を楽しもうにも順番がバラバラ+メールの返信についてくるだけなので1プレイでは確実に歯抜けが発生するというありさま。
以上のような内容が本筋に入るまで15時間以上続き、いつになったらおもしろくなるんだと少々うんざりさせられた。
また本作は秋葉原が舞台であり登場人物のほとんどがオタクである。ニャンニャン語で話す猫耳メイド喫茶の少女やネットスラングを連発するオタクなど人を選ぶであろう場面がかなり多いことも添えておく。
こうして書き出してみるとなかなかハードルの高い本作だが、本筋に入るとそれ相応の盛り上がりを見せてくれる。サスペンスフルな展開と登場人物たちの切実な願いには思わず引き込まれるものがあり、丁寧すぎる伏線のせいで読めてしまう部分もあるのだがサプライズも多い。ルートごとに時間物に置ける様々なテーマを楽しめるのも良かった。
岡部が求められる苦行は登場人物たちがただ能天気に生きているのではなく過去を乗り越えたうえでの人生なのだということを思い知らされる。そして意地の悪い見方をすれば岡部が変えようとした運命というのも他の人物がやったのと同じように本来乗り越えるべきものだったのであり、岡部は他の人が一度手に入れた幸せを奪い取ることで自身のあるべきでない幸せを手に入れたと言えるのではないか。
まとめにこれからこのゲームを遊ぶ人に言いたいことは2点。
1つ、ネタバレについてやたらと気を使われているがあくまでもオチではなく過程を楽しむ作品であること。私はここを勘違いしたためだいぶ損をしてしまった。
2つ、途中サプライズがちょくちょくあるのだが、OPにネタバレがけっこう含まれているのでぼんやり雰囲気を楽しむぐらいにしておくこと。
余談だが本作に出てくるカードゲームはガイスターというボードゲームを下敷きに作られたと思われる。ドイツのゲームだが、東急ハンズにでも行けば日本語訳つきで手に入る。シンプルながらも相手と奥の深い心理戦が楽しめるのでおすすめ。
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
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エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。