C
イマイチ。
そもそもの謎かけが弱く、先が気にならない『動物園のエンジン』。
『サクリファイス』はミステリーとして調査に徹するわけでもなく、ストーリーもおもしろくない。解説(佳多山 大地)での解釈にはなるほどと思わされたが。
唯一及第点に達していたのが『フィッシュストーリー』。ちょっと変則的な形で夢が叶うのが良かった。
『ポテチ』は100ページもダラダラとやりすぎ。上手に使えば『チルドレン』の『チルドレンⅡ』並みに盛り上がりそうなネタだけに惜しい。伏線を張りまくろうとする意思は良かったのだが。
C
ネタは悪くないが、もったいぶりすぎた。
五十嵐がミカの部屋に踏み込んだ時点で全部ばらしていればなかなかに衝撃的だったろうに。 小出しにしたせいでパワーダウンしてしまった。
P580の第3段落の記述もおかしくないか?
満足感が薄いため、長々と書かれた物語についてももう少し短くならなかったのかと思ってしまう。村越とかもうちょっとチョイ役でも良かったのでは? 冤罪事件の長さを表現した、とも思いづらい。
同じ文を必要以上に何度も見せられた気がするのも気のせいだろうか?
ちなみに一部で“~者シリーズ”と呼ばれているよう(あえてこういう書き方をするのは、作者サイト『沈黙の部屋』でシリーズ扱いされていないため)だが、これだけ読んでもまったく問題なし。
終わりなき夜に生まれつく/アガサ・クリスティー(乾 信一郎)
C
タイトルセンスが〇。直訳の“終わりなき夜”より語呂もセンスもずっと良い。
ただ、そこ以外は凡作。
短編でもできた内容だと思う。
オチ自体はこれと同じだが、本作は明らかに推理部分に重きを置いておらず(私が事前にネタを知っていたのを差し引いても)衝撃度は薄い。ストーリーもそうおもしろいものでもない。
最初からネタをばらして進めるか、中盤までエリー視点で書くかした方が良かったのでは?
つまらなくはないが、物足りなかった。
シゴフミ4 Stories of Last Letter/雨宮 諒/ポコ/湯澤 友楼
C
『僕の名前を呼んでおくれよ』はまさかシゴフミでこんな話が、という異色作。
『Brother and Sister』はいつものペースを見せつつも、終局への布石を打ってくれた。
そして『終わりの始まり』『始まりの終わり』。前者は単体でも良作で、シゴフミの登場シーンには嘆息させられた。後者もグランドフィナーレとまでは盛り上がらなかったが、これまでの積み上げを生かす良いラストだった。少し時系列がややこしくなったが、既刊を見返せばすぐわかる程度。
ただ、“もう一人の文伽への手紙”(P90)がノータッチなのは残念。アニメで拾うのだろうが。
あと、今まで気になっていた原案者の存在もやっと解決。
C
久々に気持ち良く騙してくれた。
イカサマポーカーのスリルも良く書けており、ページをめくる手が止まらない。
ただ、この手の話は“策は失敗するも、主人公側が奥の手で勝つ”と決まっているようなものなので、『Sting2』最後の場面は余計だった。どうせ失敗だろ、という思いを強めてしまう。
また、さすがに入試編はもう少し短くても良かったのではないか。
あと、解説(香山 二三朗)内で著者が『賭博破戒録カイジ』パチンコ編を「傑作ミステリー」と評しているが…悪い冗談としか思えない。
C
TRPG『アルシャード ガイア』リプレイ。
『覚悟の扉』でも書いたが、やはりこの人のリプレイは読みやすい。
ルールブックと同時発売という事もあり、今回は特に気を使って執筆されたと思われる。 ゲームに初心者を交え、様々な説明を途中に織り交ぜたのもその一環だろう。
ただ、それゆえに特技の説明がページ端以外にも載ってしまう弊害も。
ストーリー自体は少々物足りない。主人公が戦いにおいての覚悟を決めるという、続き物のプロローグのような内容。
あと、2話目のミドルフェイズ07冒頭に「自身の傷を~」とあるが、ケガしてる描写なんかあったか?
ちなみにタイトルは“明日”と書いて“みらい”と読む。
C
良くも悪くも凡作。
つまらなくはないストーリーにそれなりのトリック。
やはりなにか一つ“ここ”といえるような売りが欲しかった。
欠点も、文章にぜい肉が多く削っても良さそうな表現が目に付く程度。とはいえ、『占星術殺人事件』のような読みづらさは感じなかった。
あと、喫茶店のテレビで流れた東京オリンピックはさすがに卑怯じゃないか…? あれは気づきようがないと思う。
ちなみにシリーズ物の8作目のようだが、これ単体で読んでも問題なし。
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
×
エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。