C
『迷路』がダントツトップ。途中が少し退屈なのを差し引いても、あのオチは素晴らしい。
『第二の性』『明日の新聞』『選抜テスト』も、まぁ悪くない。
逆に『白い蟹』『杳として』『大心力』はイマイチだった。というか、『大心力』はなにがしたかったんだ? ストーリーもオチも冴えない。
『予言の研究』はこれに同じネタがあったが、あちらの方がうまかったと思う。過程をしっかり書いていない。
モヤモヤしたものが残ったのは『花あらし』なぜラストであんな事が起きたのか、不思議な話というよりよくわからない話になってしまった。
『すきま風』は西澤保彦にありそうな話。この人はあっさりした形に仕上げたが、やはりドロドロしたものを感じさせる。
ちなみに『迷路』はコピペとして2chに出回っている。“つづき”に書いたが、当然ながらネタバレなのでご注意を。
C
トリックは、今となっては良くあるタイプのものだが、見せ方がうまいため古臭さやありがち感はない(若干無理がある気はするが)。
また、謎が魅力的なのも特筆すべきだろう。とにかく犯人の目的が読めなかった。
少し地味に感じるが良くできた作品。
ただ、『オリエント急行の殺人』や『アクロイド殺し』に並ぶ程の作品かは迷う所。
欠点は翻訳本には良くある事だが、文章が読みにくい所。
C
意外なオチで伏線もたくさん、でも真相がありえない。『黒猫館の殺人』に近いものを感じた。
推理の部分はしっかりしている。
オチはたしかに予想だにしないもので、伏線も少なくない。だが…もうここまでやると意外性があると言うより、突拍子もないと言った方がいいかもしれない。
事前にネタを知っていたのでなんともいえないが、下手をすれば意味がわからない人もいるのではないか。
あと、最後までルビがないのはちょっと…アンフェアとまでは言わないが、セコイように感じた。
C
世界観は良かった。
誰もが好き放題に行動する無法地帯であり、命がまるで重みを持たない場所ディストピア。そこで絶対神としての力を持つGMと、主人公達で繰り広げられる戦い。
しかし、ストーリーが物足りない。敵はあっけなく倒されてしまい、仰々しい駆け出しに対してなんともあっけない幕切れ。
「レベルデザイン」の部分なんかはゲームというネタを上手に使って、あの世界の狂いっぷりを表現していたのだが。
なお、作者WEBサイト『STUDIO221』にて『DUDS HUNT』等、一部の作品が公開されている。興味のある方はぜひ。
C
前作(『1999年のゲーム・キッズ』に比べて個々の話が安定してきている。
今回は読者を小説の世界に引き込む話が多く感じた(メタフィクション?)。
お気に入りは、妙にアナログを感じさせる最後の一言が味な『絵のなかの僕』と、ミステリーばりのトリックを綺麗に決めてくれた『マザー・ハッカー』。
しかし、一部ではあるが「あとがきにかえて」の読者の声が痛すぎる。若気の至りというやつか…。
あと、プリクラを顔の皮膚に見立てたカバー絵が気持ち悪い。
B
『誘怪犯』と『誘怪犯~紅~』(アマゾンリンク)を合わせた物。アマゾンに商品がないので、画像には出版社リンクを付けた。元はブログで公開されているマンガを書籍化した物。
こちらが予想だにしないような狂気・怪異で落としてゾッとさせてくれる。どの話も“日常”が舞台なのが怖い。
グロテスクな表現が少なくないのは、やや人を選ぶか。
あと、これ本家のブログ『イヌギキ』(※ホラー表現注意)では「「誘怪犯」+「誘怪犯~紅~」+未収録8話収録の完全版です」と言っているが、実際は全てのエピソードが載っているわけではない(『没入』がないので気づいた)。
完全版を謳っておいてこれはどうなのさ?
宣伝文句(「「誘怪犯」「誘怪犯~紅~」収録分195エピソードに加え、未収録の8エピソードを加えた完全版です。」「全2冊よりの195エピソードに加え未収録8エピソード追加!」)も意図的にわかりづらく書いているように感じる…コストパフォーマンスとしては十分なのでランクは下げないけど。
C
『残酷な人形』に次ぐ、 TRPG『ダブルクロス』リプレイ・オリジンシリーズ第3巻。
これはおもしろい。対立する立場にいるプレイヤー同士、という構図はこれでしか見られないのではないか。
特に遠藤さんのキャラクターは悪役っぷりが素晴らしく、6話戦闘直後のあれは拍手物。
また、自律判定失敗を初めて見たのもなかなか参考になった。
ランクについては少し悩んだが…Bまではいかないなぁ。
あと、アマゾンの画像がおかしいのはなぜ? 表紙イラストだけどタイトルとか入ってない。
C
『念力密室!』に次ぐ、神麻シリーズ第四弾。
いつもと違うダークテイストな作品だが、これまでのシリーズを気に入っていない私としてはこちらの方が楽しめる。
息苦しくなるような主人公の独白と、彼を取り囲むどこかしら異常な人間達が作品全編に鬱々とした雰囲気を作り出している。
人間関係が少しややこしいが真相自体は至ってシンプル。
ただ、最初の電話の真相といい解決になってやっとわかる超能力の内容といい、少々アンフェアに感じる部分がないでもない。
次回から元の作風に戻るようだが、番外編がシリーズで一番おもしろいという皮肉な状態にならないのを祈るのみ。
D
『謎亭論処』に次ぐタックシリーズ。
『招かれざる死者』…雰囲気等、この本の中で一番タックシリーズらしい話がこれだと思う。
『黒の貴婦人』…真相が微妙すぎる。謎として出した以上、キッチリ処理すべき。
『スプリット・イメージ』…長さ相応のおもしろさは持っていると思う。
『ジャケットの地図』…おもしろそうな謎だと思ったら見事肩透かし。何これ? 感動させたかったの?
『夜空の向こう側』…良くも悪くもサクッと読める。
5話中、お気に入りなし。前作の方が良かった。あちらが玉石混合だったのに対して、こちらは目立っておもしろい作品がない。
あと、ちょっとタカチをカリスマ化させすぎじゃないか? どの話でもタカチに関してべた褒めばかり。
C
これまで読んだ著者の作品はどれも人物造形が酷く、『迷蝶の島』以外は物語が茶番にしか見えなかった。
が、今回は推理小説としての及第点には達していると思う。少なくとも、読んでいて違和感はなかった。
荒唐無稽とも言えそうな隕石衝突も、読み終えればフェアプレーのための布石である事がわかる。
犯人はややわかりやすいが、トリックはなかなか。睡眠薬と電池は少々無理を感じるものの、伏線もしっかりしている。
ただ、からくりのウンチクは興味のない人には苦痛を与える長さ。
あと、400ページの文庫が800円ってどうすればそんな値段になるんだ?
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
×
エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。