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孤独のグルメ (扶桑社文庫)孤独のグルメ/谷口 ジロー/久住 昌之 <文庫>

 

C

 

 ただおっさんが食べるだけのマンガ。

グルメマンガかと思ったらさにあらず。最後の1ページでやっと料理が出る話もある。

それとも店探し等も含めて“食事の楽しみ”とする姿勢なのか。

ストーリーらしいストーリーもなく、いわゆる日常系マンガなのだと私は思う。個人の日記ブログを読むような、他人の日常を覗き見るおもしろさ。

あと、「この街には〝食欲〟というものが欠乏している気がする」という秋葉原編のセリフが印象に残った。おでん缶やメイド喫茶(これはちょっと違うか)が根付く土壌はあったのだろうなぁ。

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ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面 (ドラゴンブック)偽りの仮面/矢野 俊策

 

C

 

 TPRG『ダブルクロス』リプレイオリジンシリーズ第一弾。

さすが『トーキョーN◎VA』のデザイナー、鈴吹さんのキャラクターが実におもしろい。

田中天がおちゃらけを抑えて、かっこいいのにも驚いた。マスターの意図を汲んだのだろうか。

ストーリー自体はなかなかと言った所。続きを読みたいメンバーではある。

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ひかりのまち (サンデーGXコミックス)ひかりのまち/浅野 いにお

 

C

 

 『バスストップ』は人生からのドロップアウトを何度も見てきたタスクが、ハル子の再生を見届ける物語なのだろう。

最初にバス停で並んだ時(P53)とラスト(P112)の頭の高さの違いは、彼女の成長を暗示したものと思われる。また、主人公がとうの昔に見放していたプチトマトが、最後で実をつける辺りにも希望を感じさせる。

父親の“自殺”を見過ごすのも意味深。彼は“清算する大人”に入っていなかったのか、それとも父の手による見届け屋の廃業を意味するのか。

メッセージはあるのだろうが意味不明な話もあり、(私の読解力不足を加味しても)人を選ぶとまではいかずとも満喫できる人は限られるであろう一冊。

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シゴフミ〈2〉Stories of Last Letter (電撃文庫)シゴフミ2 ~Stories of Last Letter~/雨宮 諒/湯澤 友楼/ポコ

 

C

 リンクする話がないため前作『シゴフミ』程の高揚感はないが、全体的に良作揃い。

 若すぎた英雄の話『英雄になる瞬間』は、明らかに舞が進を増長させている面がありやや気分が悪い。何らかのフォローが欲しかった所。それとも“無責任に盛り上げる人々”すらもヒーローを取り巻く環境の一部なのか。

生者と死者の想いがぶつかり合う3話目『キューピッド』は、これぞシゴフミと言った感じ。

あと、文伽の髪留め(5枚目のカラーイラスト)がダサいと思うのは私だけか…?

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完全無欠の名探偵 (講談社文庫)完全無欠の名探偵/西澤 保彦

 

C

 

 短い謎解きがいくつも入っている『依存』のような作品。こちらの方がおもしろいが。

様々な話が1つの事件へと繋がっていく試みは『解体諸因』でも行われていたが、こちらは成功していると思う。一気に繋げるのではなく、順々にしてわかりやすくなっているのが要因か。話がややこしめになってはいるが、登場人物の多さをちゃんと活かしている。

難点はやはり「fragment」パート。もう少しスッキリさせられなかったものか。グダグダ書きすぎ。

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ダブルクロス・リプレイ―聖夜に鳴る鐘 Dynast (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)聖夜に鳴る鐘 Dynast/菊池 たけし

 

D

 

闇に降る雪』の続編にあたる『ダブルクロス』リプレイ。

もともと予定になかったものを急ぎで作ったせいか、1巻に比べて劣化している。

ロイスを使った仕掛けは良かったが、全体的に話の作りが雑に感じた。田中天の暴走ぶりはおもしろいが、やはり時間がないせいか押さえ気味。

新ルールのDロイスもわざわざ採用をアピールした割には“どこで使ったんだ?”と言いたくなる程の扱い。

つまらなくはないのだが…。ただ、ラストのコラムは他でも取り入れて欲しい程のおもしろさ。

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貧乏姉妹物語 1 (サンデーGXコミックス)貧乏姉妹物語(1~4)/かずと いずみ

 

C

 

 最終巻は割と良かったけど、それまでがね。

少ないページ数で駆け足気味に進められて、盛り上がりに欠ける。そのため見開きなど色々な表現を使っているものの、4コマに毛が生えた程度という印象が否めない。

あと、主人公に据えて毎回やるにはきついだろうが、常時幸せ仲良しこよしの山田姉妹より、多少すれ違いながらも愛情を確認しあっていく越後屋姉妹のエピソードの方がおもしろかった(クレープの話が個人的にベスト)。

とは言え、最終巻の出来を見るにそれらの欠点は単純に経験不足ゆえと思われる。

次回作に期待、と言った所か。

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終末のフール (ヤングジャンプコミックス)終末のフール/塩塚 誠/伊坂 幸太郎

 

C

 

 枝葉の部分は少し変わっているものの、基本原作に忠実なコミカライズ。

鳥男の解説で地の文を補い、物語を短い丈の中に押し込んでいる。

ただ、短く収めるためにメッセージをそのままセリフにしている節があり、大人向けの絵柄だけにやや臭いと感じる人もいるかもしれない。

あと、『グラスホッパー』でも言えた事だが良くも悪くも“マンガで読める伊坂作品”に徹しているため、原作既読者には読む意味の薄い本かもしれない。

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ダブルクロス・リプレイ 闇に降る雪―Queen of Blue (富士見DRAGON BOOK)闇に降る雪 Queen of Blue/菊池 たけし

 

C

 

 『覚悟の扉』に始まるアライブシリーズとはまた別の『ダブルクロス』リプレイ。

田中天の凄まじい暴走にかなり笑わせてもらったが、しんみりとした場面もちゃんとありこのゲームらしさが出ている。

解説はゲームごとではなく著者ごとに特徴が出る模様。『白き陽の御子』に同じく、この人の解説は初心者向けではない。

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終末のフール (集英社文庫)終末のフール/伊坂 幸太郎

 

C

 

 解説(吉野 仁)でも書かれているが、今作はミステリー色がかなり薄い。しかし、それでつまらなくなるという事はなく、独特な物語を経てさっぱりしたラストへ着地する楽しさは健在。

ただ、爽快感ならミステリーだった時にも楽しめていた。推理要素をなくしてそれが強まったとも思えない。

また各編のつながりも、いつもの作品間リンクのようにゲスト出演する程度で、『死神の精度』のようなおもしろみはない。

水準はクリアしているけどやや物足りない一冊。

あと、暁子(P99)と誓子(P148)の外見が似ているのは私の気にしすぎか?

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1999年のゲーム・キッズ (幻冬舎文庫)1999年のゲーム・キッズ/渡辺 浩弐

 

C

 

題材となるテクノロジーをこれほど見つけてくる取材力もさることながら、そこからアイディア・ストーリーを膨らませる力がすごい。アレンジを加えたりまったく別の使い方を見つけたりと感心させられる。

ただ、やはりまだこなれていないのか続刊(『2000年のゲーム・キッズ』)に比べると良くわからないオチに走ったり、イマイチなできのものが見受けられる。 

また書き下ろしの2章3章については完全に1章より劣っている。上気した欠点がモロに出ており、残念なできと言わざるを得ない。

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2000年のゲーム・キッズ―仮想科学小説集2000年のゲーム・キッズ/渡辺 浩弐 <単行本>

 

C

 

 まず、この本が10年以上前に書かれている事に驚き。モデルとなっているのは今ですら信じられないような技術ばかりだ。このうちどれだけが実用化されているのだろうか。

また、中には小説中の絵空事そっくりなものが現代に存在するのもおもしろい。『友達バー』なんてインターネットの掲示板にかなり近い内容ではないか。

もちろんショートショートとしてもなかなかのできなのだが、ちょっと気になったのが後述する2編の説明不足。

『器用な奴』はたぶんこれと同じトリックで、『簡単な指令』は地下鉄サリン事件なんだろうが、人によってはわからないだろう。

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友よ、静かに瞑れ (角川文庫 (6000))友よ、静かに瞑れ/北方 謙三

 

C

淡々とした態度の中に熱意を感じさせた沢崎(『そして夜は甦る』)やマーロウ(『長いお別れ』)に比べて、荒っぽいやり方の新藤は熱血系と言った所か。

ストーリーはこまめに伏線とその回収を繰り返し、可もなく不可もなくといった感じ。

スムーズに情景が想像できる短文の連続やタイトルセンスの文章力は素晴らしいと思った。

タバコをそこらじゅうに捨てるのは少し気になったが、書かれた時代やジャンルを考えると気にしてはいけないのだろう。

ちなみに、タイトル最後の漢字の読みは“ねむれ”ね。“つむれ”じゃないのでご注意を。

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推定無罪〈上〉 (文春文庫)推定無罪(上・下)/スコット・トゥロー(上田 公子)

 

D

 

 真実の追求ではなくいかにして陪審を傾かせるかをメインにした戦略性溢れる法廷劇は、検事補である作者だからこそできた要素だろう。

明らかに公平とは思えない判事等リアル(だと思われる)な裁判模様も良い。

ただ、少々長ったらしいのが難点か。上巻序盤など削っても構わない部分もあったと思う。

あと、犯人は予想できなかったものの、バラし方が良くないのかさほど驚けず。一気にドーンと明かした方が効果的だったのでは?

また、『イニシエーション・ラブ』ほど濃くはないものの、妙にエロティックなシーンが散見されるのも人を選ぶか。

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ナイトウィザード リプレイ 白き陽の御子 (ファミ通文庫)白き陽の御子/菊池 たけし

 

C

 

 TRPG『ナイトウィザード』のリプレイ。

 ほぼ会話の記録そのものと言おうか。ゲーム外の素の発言もPCとしてのセリフもそのまま収録されている。

(笑)が異様に多いがその分笑わせてくれた。

ただ、用語解説が文中のその場その場で挟まれ、後から探しづらいなど不親切さを感じる。特にフェンブルとピンゾロが違うというこのゲーム独自の部分の説明は欲しかった所。

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謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫 に 5-3)謎亭論処 匠千暁の事件簿/西澤 保彦

 

C

 

依存』に次ぐタックシリーズ。

『盗まれる答案用紙の問題』…良作。好奇心を煽る謎と予想外の真相が〇。

『見知らぬ督促状の問題』…ラストの展開が秀逸。本書ではこれがベストかな。

『消えた上履きの問題』…謎解きではなく物語として、真相がおもしろかった。

『呼び出された婚約者の問題』…微妙。謎は悪くないがイマイチおもしろくない。

『懲りない無礼者の問題』…上に同じくイマイチ。最後の最後のやつも滑ってる。

『閉じ込められる容疑者の問題』…タックが来る所をなくして、真相解明の戦慄で終わった方が良い。

『印字された不幸の手紙の問題』…これがワースト。意外性が足りず、結論もあいまい。

『新・麦酒の家の問題』…鑑識の死亡推定時刻に矛盾は出ないのだろうか?

あと、イラストがね…タック・タカチはまだしもボアン先輩とウサコが酷い…。

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ぴたテン (1) (Dengeki comics)ぴたテン(1~8)/コゲどんぼ

 

D

 

 ただキャラクターの可愛らしさを楽しむだけのマンガかと思いきや、存外しっかりとした内容だった。単なる美少女物を期待した人間の横っ面を張るようなシリアスな展開は、作者が安易な姿勢でこの話を描いたのではない事を感じさせる。

そういった終盤の展開はまぁまぁだったのだが、やはり最初の方のグダグダ感がネックか。御手洗兄妹とか明らかに必要ないだろう。

お気に入りのヒロインがいれば序盤も楽しめてもうワンランク上がるかな。

ずっと最初のような展開が続いていればDランク、最初から終盤の物語性を出せていればCランクと言った所で、評価については少し悩まされた。

余談だが、本編をパロったおまけ4コマが笑える。2巻の麻雀パイネタは実にシュール。

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長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))長いお別れ/レイモンド・チャンドラー(清水 俊二)

 

D

 

 『そして夜は甦る』に始まる沢崎シリーズに多大な影響を与えたと思われる作品だが、あまり好きになれなかった。

挑発されて相手をどなったりするマーロウより、淡々とした沢崎の方が魅力的に感じる。

ストーリーは前半のテリーに関する話と後半のロジャーに関する話であまりつながりが感じられず、また全体的に退屈に感じた。

終盤の展開は良かったが、もう少しスッキリさせられたのではないか。

あと、エイモスという同じ名前の人物がなぜ二人いるんだ…。

なお、『ロング・グッドバイ』という新訳版も発売中。

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追憶の宴―ダブルクロス・リプレイ・アライブ〈2〉 (富士見ドラゴン・ブック) 追憶の宴/矢野 俊策

 

C

 

 『覚悟の扉』に次ぐ、TRPG『ダブルクロス』リプレイアライブシリーズ第二弾。

 苦い話に渋い主人公となかなか私好みの一話目。これまで読んだ4つの中では一番お気に入り。マキエにスティングとなかなかエグイネーミングも〇。

2話目は物語の大きな流れを予期させる終わり方。ジャームでも理性的に行動するものがいるというのは新しい発見だった。

とりあえず、1巻で疑問を感じていた部分について解決してスッキリ。

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説得ゲーム (Next comics)説得ゲーム/戸田 誠二

 

C

 

 特異な状況に置かれた人々のドラマを丁寧に描いた『NOBODY』と『クバード・シンドローム』が良かった。ただ、困難の描き方に比べて解決があっさりしすぎた感はある。

『説得ゲーム』は「自殺志願者を説得できなければ、このゲームは終わらない。」という内容と全然違う帯の言葉に騙された。それ抜きでも、設定がイマイチ活きない物足りない作品ではあったが。『キオリ』も同ランクか。

『タイムマシン』は短いながらも最後の主人公の言葉がザクッとくる。

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