I LOVE YOU/伊坂 幸太郎/石田 衣良/市川 拓司/中田 永一/中村 航/本田 孝好
C
『透明ポーラベア』…伊坂節炸裂。奇妙な姉がおもしろい。ただ、恋愛物としては…?
『魔法のボタン』…「ファンタ・オレンジほど~」と独特な文章。
『卒業写真』…おもしろいけど、わかりづらさの方が印象に残った。
『百瀬、こっちを向いて』…展開がおもしろく、終盤の一捻りも良い。これがベスト。
『突き抜けろ』…これまた恋愛小説と呼ぶのか…。青春物として読んでもイマイチ。
『Sidewalk Talk』…希望を感じさせるラストは良かった。が、別れようとするのもやり直そうとするもの“そんな理由で?”と感じてしまう。恋愛ってそんなものなのかな?
D
『実況中死』 に次ぐ、神麻シリーズ第三弾。
『念力密室!』…神麻さんと保科の出会うくだりが、まぁまぁ笑える。
『死体はベランダに遭難する』…一話目の犯人がわかりやすかったぶん、楽しめた。
『鍵の抜ける道』…やられた。行きで使えなくて、戻ってきた時には使えるという発想はなかった。
『乳児の告発』…犯人がわかりやすい。余談だが、P269「とーっても頼もしい」やら三話目の泣き落としに対する慌てようやらで能解警部のイメージがだいぶ変わった。
『鍵の戻る道』…聡子を混ぜるためだけに書いた印象。事件解決がやっつけな感じ。
『念力密室F』…私が短編を一作ずつレビュー(ブログ転載前にこれを書いた時点で)するのは“雑誌に単体で載る=それのみで一つの作品として読める”と判断しての事だが、これは書下ろしだし内容的にも評価見送りが妥当だろう。
C
『クラインの壺』にかなり近い設定だが、話そのものは大きく違う。
クラインの壺がハイテク技術を取り巻く人々のやり取りを扱っているのに対し、本作では仮想世界内の冒険を描いている。
そのため終盤重視のSFミステリーだったクラインの壺に比べて、アクションシーンが多く全体がムラなく楽しめる。
難点は、ページ数ゆえかあっさり終わった感があり、やや物足りない所。
シゴフミ ~Stories of Last Letter~/雨宮 諒/ポコ
C
死者との対話ではなく手紙を選んだセンスは〇。
読後感は『死神の精度』の『死神と藤田』に近かった。
ただ、本作はどちらが勝つのかわからないところがミソ。P259で文伽の言う「愚問ね」は“どちらが勝とうともこの試合が両者にとって楽しく素晴らしいものである事に変わりはない。ここでの本質は勝敗ではない”と読み取ったが…どうだろうか?
あと、絵が妙に頭でっかちなような…。
C
良くも悪くも普通のコミカライズ。
原作(『グラスホッパー』)が捨ててしまった爽やかなラストを復活させたのは良かったが、それ以外はチョコチョコと細かいアレンジを加えつつ原作に沿って進んでいく。安定して読めるが、原作既読者にはややおもしろ味に欠けるか。
マンガとしては表情の描き方が上手だと思ったが、アクションがイマイチ迫力不足。
あと、せっかく出した伏線を拾わないという行為は理解に苦しむ(トーキョートブンキョーク)。
D
P69「~百八個くらい」とある事から『時計館の殺人』を意識していたと思われるが、内容は遠く及ばなかった。
謎の回答は意外だし、トリックも独創性があって良いと思う。だが、小出しにしているため驚きは弱い。
ストーリーの方も風呂敷を広げて、そのまま放りっぱなし。世界の終わりはどうなるの? 真夜中の鍵は誰? 余韻を持たせたと言うより、結末付けを放棄したように感じる。
あと、男でミキって名前は良くあるのか? 「彼」と代名詞が出るまでずっと男か女か迷っていたのだが…。
B
ただの変人ではなく武士の変人を連れてきたのがポイント高し。
時代錯誤なボケをかます仙之丞と、いちいち反応する現代人についつい引き込まれてしまう。
本筋のストーリーはかなり半端なのだが、一つ一つのギャグで笑わせてくれるのでちゃんと楽しめる。
惜しむらくは1巻完結でやや物足りないところか。2巻3巻とまだまだ続けられそうなだけに、ここで終わってしまうのが残念。
とは言え、長く続けにくそうな感じではあるので、劣化されるよりはずっとマシか。
ちなみに『まんがタイムWeb』で新刊の今だけ(?)試し読みができるのだが…微妙なネタばかりなのでこれで判断するのは避けた方が良いだろう。
稀に見る傑作。
A
おもしろい。
B
まあまあ。
C
標準ランク。人によってはB。
D
微妙。
E
読むのが苦痛なレベル。
F
つまらないを越えた何か。
×
エックスではなくバツ。よほどアレでない限り使わない。