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螢 (幻冬舎文庫)螢/麻耶 雄嵩

 

C

 

 すごいけど、そんなにおもしろくはないかな。

一つ目のオチは文章の不自然さもあって簡単に読める(「千鶴」の章にはやられたが)ものの、二つ目は見事にやってくれた。

トリック自体はありがちかもしれないが、使い方が非常にうまい。この発想はなかった。トリックの新しい可能性を示すものではないだろうか。

 ただ、私が軽くネタバレをくらっていたのを差し引いても衝撃はあまり強くない。伏線もしっかりしていて、十分予想外だけど、それで話がどう変わるかと言えば犯人当てにちょこっと使われるだけ。

あと、最後の生存者は人それぞれ、ネットでも諸説ある模様。私としては『黄金の羊毛亭』さんの説がしっくりきました。右上の「ネタバレ感想」という所をクリックすれば読めます。

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瞬間移動死体 (講談社文庫)瞬間移動死体/西澤 保彦

 

D

 

あいかわらず超能力の設定はうまい。

ふざけたような文章はおもしろくて読みやすく、途中の展開も退屈しない。

ただ、真相が今一つ意外性に欠ける。

伏線もちょっとわかりやすくないか? 特にヴェラが12日の夜にマットに会ったという証言。明らかにおかしいのにそのままにして進められている(あまりにあっさり進むので私が間違えているのかと思った) のはわかりやすすぎる。

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本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル)本陣殺人事件/横溝 正史

 

C

 

金田一耕助シリーズの一部らしいが、これだけ読んでも特に問題はなかった。

 『本陣殺人事件』…長いよ。「ソア橋事件」のネタバレもマイナス要素。『8の殺人』といいネタバレ好きに愛好されてるのか?

『車井戸はなぜ軋る』…この真相は読めなかった。一番好きな話か。

『黒猫亭事件』…ミスリードがうまい。顔のない屍体かと思ったら…。最初のやりとりにやられた。

トリック等より事件全体のストーリーを楽しむ作品か。

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フェイク (角川文庫)フェイク/楡 周平

 

D

 

 基本、帯買いはしないのだが…珍しくやってみたら案の定やられた。

「白熱する頭脳ゲーム 最後に笑うのは誰だ!?」とは帯の言だが、騙し騙されの頭脳戦などまったくない。ただ、一方的にはめるだけ。

手口も読者にほとんど公開しているうえ詐欺の途中で危機に陥る事もなく、意表を突かれる展開やハラハラして先が気になるという事もない。だいたい、詐欺に入るまでが長すぎる。

また、帯の言葉に期待せずともイマイチだったと思われる。

13階段』『天使のナイフ』のように勉強になると感じるほど銀座の裏側は描かれていないし、主人公のサクセスストーリーとしてもおもしろくない。

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愚か者死すべし (ハヤカワ文庫 JA ハ 4-7)愚か者死すべし/原 りょう

 

D

さらば長き眠り』に次ぐ、探偵沢崎シリーズ第四弾兼新探偵沢崎シリーズ第一弾。

原さん年食って丸くなっちゃったのか?

行動や情景を淡々と重ねつつその端々に心情を浮かばせ沢崎をハードなヒーローに仕立て上げていた従来の作品に対し、今作では心理描写が多用され凡百の主人公と変わらなくなってしまった。

ニヒルな文章にもどこかキレが出ず、読んでいるだけで楽しいという本シリーズ最大の魅力を減じさせている。

それらの要素を第二部への変異と見るべきなのか、ただの失敗と見るべきなのかは判断しかねる。

後記で「短時間で書くことができたことは、本作につづく新シリーズの第二作、第三作の早期の刊行をもって証明するつもりです。」と言っておきつつ5年経った今も次巻が出る様子はない。

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さらば長き眠りさらば長き眠り/原 りょう <単行本>

 

C

 

天使たちの探偵』に次ぐ、探偵沢崎シリーズ第四弾。

皮肉の利いた文体と沢崎の切り返しの妙はあいかわらず癖になるおもしろさ。

歪んだ欲望の交差が紐解かれる終盤もなかなか衝撃的だった。

ただ、推理物ではなくあくまでも探偵沢崎の活躍を味わう物語。

伏線は張られているが、読み手が推理できる作りではないと思われる。

残念だったのは前長編『私が殺した少女』に比べて、内容が複雑化した事と刑事連中のような憎まれ口を叩く相手に恵まれなかった事。

さらば長き眠り (ハヤカワ文庫JA)

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Doubt 1 (ガンガンコミックス)Doubt(1~4)/外海 良基

 

 

 完全にこれのパクリ(続編の2を少し混ぜた感じか)。初めての原作なしがこれって作者は恥ずかしくないのか?

犯人発覚は、張り巡らされた伏線が回収されるでもなく推理の果てにたどり着くでもなくさして意外でもない。

トリックもダメダメ。パクリ元は無理のあるオチを構成や伏線で見られるものにしていた。対するこちらはその辺りを改変したものの“ありえねえ感”は五十歩百歩。

途中のサスペンスも、論理的に疑い合いもしなければ疑心暗鬼が良く表せてるわけでもない。ただ、ギャーギャー喧嘩するだけ。

絵も一見すると綺麗なようだが、マンガとしてはイマイチ。1巻終盤でヤク中のマウントを蹴り返す所など、動きが描けておらずわかりづらい。

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なつこ、孤島に囚われ。 (祥伝社文庫)なつこ、孤島に囚われ。/西澤 保彦

 

実況中死』のように推理作家をゲスト登場(といってもあれは名前だけだったが)させるのはわかるが、なぜに森奈津子さん? 森作品を読む西澤ファン、あるいはその逆がどれ程いるだろう。

これまでのレビューで最低ランクだった『8の殺人』や『黒い仏』『ソウ』ですら読者を楽しませよう・騙してやろうという意気込みは感じたし、『ファンタズム』にも一応サプライズがあった。しかし、この本は自己満足の内輪ネタにしか見えない(両者仲が良いという噂もある)。

15周年記念にこんな原稿を渡された祥伝社が不憫。

何年も続けたベテランの文章と、一応あるバカ要素のおかげで、読むのが苦痛でないのが救いか。

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トンコ (角川ホラー文庫)トンコ/雀野 日名子

 

 

 『トンコ』…少し期待外れだったかな。度々入る擬音で少し読みづらい。しかし、「僕たちが食べているのは肉であって豚じゃない~」というセリフはなかなか衝撃的だった。狂った現実逃避の極み。

『ぞんび団地』…ですます調の文と無垢なあっちゃんでほのぼのとした雰囲気になっているが、とてつもなくえげつない話。ハッピーエンドはハッピーエンドだが…。

『黙契』…死んだ人間の心理を幽霊ではなく、死体の視点で書くのがなかなかおもしろかった。オチが少しわかりづらいか。

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ダレカガナカニイル… (新潮ミステリー倶楽部)ダレカガナカニイル…/井上 夢人 <単行本>

 

D

 

 ラストのどんでん返しにやられた。カバーのあらすじがうまい(アマゾンリンク参照)。

ただ、『幻惑密室』や『実況中死』と違い、超常現象にルール付けをしていないため、なんでもあり感が強い。

話そのものはおもしろく、これさえなければもう一ランク上がったのだが…。

なお、現在は講談社文庫で販売中。

 

ダレカガナカニイル… (講談社文庫)

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七回死んだ男 (講談社文庫)七回死んだ男/西澤 保彦 <再読:文庫→新書>

 

S

 

 序盤から読者を引き込む奇抜な設定。やや読みにくいが、ふざけているような笑える文章。遺産に関するトラブルというドロドロしそうな内容なのに、明るく楽しいストーリー。まったく予想だにしない真相と多数の伏線。

物語を構成する要素のどれもが非常に良くできており、エンタメとして一級品。

 とにかくおもしろく、私が推理小説にはまる決定打となった本。オススメです。

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涼宮ハルヒの憂鬱 (1) (角川コミックス・エース)涼宮ハルヒの憂鬱(1)/みずの まこと/谷川 流/いとう のいぢ

 

D

 原作未読、アニメ版鑑賞中。

1巻打ち切りも納得の内容(原作がヒットしたためもっと合う絵柄のツガノガクに交代したという噂もあるが、それがなくて続いたとしても読者受けしたかは疑問)。

まず絵がへたくそ。同人並み、あるいはそれ以下の公式コミックとしては異常なレベルの低さ。キャラクターの可愛らしさを楽しむのであろうこの手のマンガで、絵が汚いというのは致命的。

おまけに話も終始駆け足気味で盛り上がらない。原作があるからストーリーがどうこうと言う以前に演出不足(テンポが良いととれなくもないが)。

退屈ではないが、おもしろかったと言えないでき。

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向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)向日葵の咲かない夏/道尾 秀介

 

C

 

 事実に反しない言い回し≠伏線、だと思う。

これだけ捻れた世界を書き切り、小説として完成度高く成立させただけでも作者の力量が窺える。

しかしながら、最初に書いた理由によりオチの衝撃は小さい。上手に避けているなぁと感じさせる場面は山ほどあるのだが、真相が明かされた瞬間“だからああだったのか”と思わせる場面はほとんどない。

また“主人公の物語作りへの徹底”も描かれたため、結果として読者が気づくのはほぼ不可能なあざとさが弊害として出てしまった。

しかし…これ売り上げランキングで上位に入ってたけど、人を選びそうな内容の本で有名になっちゃうと後で苦戦しそうでやや心配な作家である。

ネタバレぎりぎりの余談だけど、読んでいて『幻想主義』という本を思い出した。あのヒロインを重症にしたのが、この本の主人公なのかな。

 

幻想主義 (カドカワコミックスAエース)

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ソウ―SAW (角川ホラー文庫) ソウ/行川 渉/ジェームズ・ワン/リー・ワネル

 

E

 

 “原作を観ておいて良かった”とここまで思わせてくれるノベライズも珍しいのではないだろうか。

アマゾンであまりにも秀逸な表現があったので引用させてもらうが「話し下手な友人にオチを云われた感じ」。正にこの表現がピッタリくる程文章は下手。

 おまけに内容が輪をかけて酷い。演出・構成・ミスリード、どれも改悪され台無しになっている。あの傑作をここまで貶められるのかと感心した。

そもそも映画ならではの演出・技巧が多数取り入れられた本作をノベライズしようという企画そのものがおかしかったのではないか。

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グラスホッパー (角川文庫)グラスホッパー/伊坂 幸太郎

 

C

  

話自体は悪くなく伏線もちゃんと張ってあり、とりあえず水準はクリアしていると思う。

しかし、作者の特徴であった軽妙さやテンポの良さと引き換えに得たハードな雰囲気は、売りにするにはちょっと弱い。

ところでこのラストハッピーエンドともバットエンドとも取れるような…?

ちなみに、現在は連載が終了しているがコミック化もされている。

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夕萩心中 (講談社文庫)夕萩心中/連城 三紀彦

 

C

『花緋文字』…どんでん返しが良かった。

『夕萩心中』…少々長いが、こちらも良作。

『菊の鹿』…動機が独特だが、ある程度の説得力はきちんと持たせている。

『陽だまり課事件簿』…人間模様中心で謎解きがイマイチに感じるがおもしろかった。課長の家庭にも救いを…

文章が巧いのはあいかわらず。また、同シリーズの話が入っているため『戻り川心中』(どちらか片方だけ読んでも支障なし)と同じように叙情的な表現が苦手な人がいるかもしれない。

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2009年

4月1日
ブログタイトル:ギャルゲー応援団
説明文:最近エロゲに押され気味。負けるな僕らの非18禁美少女ゲーム
EVER17 レビュー

2010年

4月1日
ブログタイトル:学怖ファン
説明文:ついでブログエイプリルフールバージョン
学校であった怖い話S レビュー
創作:学校で聞いた怖い話
読み物:レトロゲーム板であった怖い話

7月10日
説明文:アマガミアニメ化記念
アマガミ レビュー
アマガミ考察1 橘純一は疫病神なのか?
アマガミ考察2 絢辻詞の献身

2011年

4月1日
説明文:4月1日はADV特集の日
街~運命の交差点~特別篇 レビュー
428 封鎖された渋谷 レビュー

4月20日
説明文:シュタインズゲートアニメ化記念
Steins;Gate レビュー

2013年

4月1日
説明文:昼過ぎに更新するエイプリルフール企画
メモリーズオフ ゆびきりの記憶
 レビュー

4月19日
有料DLCが嫌われる4つの理由

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しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)しあわせの書  迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術/泡坂 妻夫

 

C

ヨギ ガンジーの妖術』に次ぐ、ヨギ ガンジーシリーズ第2弾。1作目を飛ばしても支障はないと思われる。

 こんなことできるんだなぁ、と仕掛けについては素直に感心した。発想よりもこれを実行できる技術がすごい。

 ただ、小説としておもしろいかは微妙。

 ストーリーはあいかわらず“退屈ではない”程度だし、トリックも引っかかりはするがパッとしない。ガンジーもいくぶんかまともになっている(その方が読みやすく、また変人キャラもさほど魅力的とは言えず)。

前述した仕掛けもばらされて驚く類のものではなく、物語におもしろ味を加えるものではない。

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宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))宇宙の戦士/ロバート・A・ハインライン(矢野  徹)

 

C

 

 主人公が目標を持ち、師に出会い、成長していき…。青春小説+SF。

人の動きにあわせてくれる強化防護服のアイディアはおもしろいが、見た目がやや描写不足か。地球連邦軍についてはかなり詳しく説明されているだけに残念。

あと、“素晴らしきかな軍隊”的な部分があるので嫌いな人は嫌いだろう。

ちなみに、『スターシップ・トゥルーパーズ』として映画化されたが、改変の凄まじさに原作ファンからは嫌われている模様。作品の出来どうこうではなく、改変で不評というのも珍しいパターンのような…。

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ヨギ ガンジーの妖術ヨギ ガンジーの妖術/泡坂 妻夫 <単行本>

 

D

 

ガンジーの個性は強烈だが…それだけかな。

あまりうまくない文章、退屈とまでは言わないがおもしろくはないストーリー、さほど感心したり驚いたりしないトリック。

酷評するほど悪くはないが、褒める所が思いつかない本。

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