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殺しの双曲線 (講談社文庫 に 1-4)殺しの双曲線/西村 京太郎

D

 

 最初に読者へのメッセージを入れるやり方は『0の殺人』を思い出すが、こちらはうまくやってくれた。双子トリックという一種のタブーを、事前に読者に知らせる事で有効活用する試みは評価したい。

が、読み物としては並。

平易を通り越して味気なさすら感じる文章だが、2つの事件がどうつながりどう終わるかでモチベーションを保つ事ができる。

オチは綺麗にまとめたものの衝撃的とまではいかなかったか(メインも例の“逃げ”だろうし)。

そして誰もいなくなった』のネタバレで1ランクダウン。

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名探偵の掟 (講談社文庫)名探偵の掟/東野 圭吾

B

 

 

 ミステリー好き向けユーモア小説。

推理小説としての楽しみは期待できないが、メタ的な表現をふんだんに用いてこのジャンルのお約束をおちょくってくれる。真相解明にまったく興味のない事件関係者やアリバイ説明時に水を得た魚のように生き生きとする容疑者とあるあるネタで終わらせずギャグにまで昇華できているのはポイント高し。

 対照読者は限られるが、ミステリーの事を理解し問題点に踏み込んだ意欲作。

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六枚のとんかつ (講談社文庫)六枚のとんかつ/蘇部 健一

C

 

 

どうせバカやるならもっと突き抜けて欲しかった。

 驚くにはくだらなく、笑うには物足りないネタが多い。中途半端なミステリーに中途半端なギャグを合わせてもおもしろくはならないだろう。

 おもしろいのに完全にご当地ネタで推理できない『丸ノ内線七十秒の謎』、ラッコの絵に見えづらい『鏡の向こう側』と全体的に一歩足りない感じ。

あと、『五枚のとんかつ』は追加しなくてよかったと思う。たとえ思いついたとしても、しかるべき時まで暖めておくのがプロというものでは?

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ナイルに死す (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)ナイルに死す/アガサ・クリスティー(加島 祥造)

C

 

 

 旅行記とそれに伴う人間関係が長々と書かれるが、核の部分は普通のミステリー。悪くはないが、特筆するような点もない。

長い旅行記というと『空飛ぶ馬』を思い出すが、こちらは人物にクセがあるせいかそう苦にならなかった。

ついでに言えば、そのおかげで多目の人物も覚えやすい。

あと、読んでいてなんとなく思った事だが、作者は色々な人物の思惑が重なって事件を複雑にしているという手法が好きな気がする(それとも古典推理小説全般がそうういうものなのか)。『オリエント急行の殺人』は彼女が書いたからこその傑作なのかもしれない。

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死ぬかと思った〈1〉死ぬかと思った1/林 雄司 <再読:単行本→文庫>

C

 

 

 恥ずかしかったり、痛かったりといった不幸な笑い話が満載。

日常性が話に親近感を持たせ、入り込ませてくれる(実話だし)。

ただ、糞尿ネタ、痛々しいケガのネタ、気持ち悪い虫ネタ等読むときに注意した方が良いものが少なくない。

あと、大便を漏らした話の多さはなんとも…。+αで何かあるならまだ良いのだが、『うんこもらした』なんて本当にただそれだけの話で笑い所が良くわからなかった。

逆に気に入ってるのは『ダニ殺し毛布で寝る』。

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さよなら妖精 (創元推理文庫)さよなら妖精/米澤 穂信

C

 

 

 友人の行方というちょっと変わった謎が主題(ホウェアダニットとでも呼ぶか)。

ストーリーがメインで、ちょこちょこ小さな謎解きが入ってくる。『依存』に近い感じか。ドロドロはなく、作者お得意のほろ苦い青春物だが。

この話の切ない点は、真相よりも太刀洗だろう。マーヤの事は勉強してまで理解しようとするのに、太刀洗に対しては思考停止的に無理解な主人公。彼女が作中で2度も繰り返す自分を冷たく見積もりすぎであるという言葉(P186・344)は、無関心を貫かれた彼女の悲鳴なのだと思う。

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走らなあかん、夜明けまで (講談社文庫) 走らなあかん、夜明けまで/大沢 在昌

C

 

 

 どうにも印象が薄い本。

読んでいる間は退屈させないのだが、おもしろさの最大値があまり高くなく、読み終えた後の満足感もそこそこ。

読みやすい文章で小難しい部分もなく進むが、伏線や凝った展開もなく、その場限りの楽しさといった感じ。

ところで、解説(茶木 則雄)で「~かのウィリアム・アイリッシュの名作を想起しない読者は、ミステリーファンならおそらくいないはずだ。」とあるが、作品というのは増える事はあっても減る事はないのだから、こういう事を言うのは不毛な気がする。

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独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫) 独白するユニバーサル横メルカトル/平山 夢明

B

 

 

 読んでいる間の不快指数がすごい。

感覚的・生理的・倫理的、種々様々な嫌悪感が詰め込まれている。

 読んでいて気分が悪いのになぜか引き込まれてしまうのは、陰惨なニュースに見入ってしまったり、道端で死んでいる犬猫つい見てしまうのに近い感覚。

ただ読み応えはあるものの、内容が内容だけに人を選ぶのは必至。グロテスクな話が苦手な人は避けた方が無難。

あと、表題作のオリジナリティはすごいが、他はどこかで見たような話が散見される。

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バスジャック (集英社文庫)バスジャック/三崎 亜記

 

 

 ドラマ『世にも奇妙な物語』を彷彿させる内容。

しかしながら、本書に収録されている話はただ奇妙なだけで面白味がない。

出オチとでもいえばいいのか、設定を説明するだけに終始してしまっている感がある。あくまでも設定は土台であり、その世界での(できればその世界ならではの)ストーリーを見せるべきでは?

『送りの夏』はなかなかおもしろかったが、『二階扉をつけてください』や『動物園』は設定ばかり凝って話が適当に感じた。

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死者は黄泉が得る (講談社文庫)死者は黄泉が得る/西澤 保彦

C

 

 

 どんどんつながっていく伏線は近作にない満足感。

ただ、SF要素とミステリー要素の関係の弱さやストーリーに何の影響も与えないどんでん返し等、これ以前の作品に比べて一歩劣る。

あと、『七回死んだ男』について以前“この話のラストが美しいのは真相解明であると同時に愛の告白でもあるから”という意見を聞いたが、本作ラストのアレも同じ趣向だったのではないか。

つまり、サプライズより物語面での着地の良さが狙いだったのだと思う。あまりにも不可解かつ解釈困難な謎を残したがため裏目に出たが。

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ささらさや (幻冬舎文庫)ささら さや/加納 朋子

C

 

 

 人物が生き生きと描かれている。

婆さん達やエリカの掛け合いなど思わず笑ってしまいそうで、小説としてはなかなかおもしろく読む事ができた。

 ただ、推理物としてはかなり弱い。『空っぽの箱』なんて子供向けの推理クイズレベル。

お気に入りはミステリー的に満足できた『羅針盤のない舟』とストーリーが良かった『待っている女』。

あと、夫視点の文章がかなりくどいのも難。一部しかでないから良かったものの、読むのが苦痛に感じるほどのもってまわった言い回しだった。

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斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)斜め屋敷の犯罪/島田 荘司

 

占星術殺人事件』に次ぐ、御手洗シリーズ第2弾。 1作目を未読でも問題はないが、傑作なのでぜひ読んでいただきたい。

確かに意外ではあるが、このトリックはやりすぎだろう。

驚くより苦笑いするしかなかった。 

途中については面白味こそないものの、前作のような読みづらさ・露骨に無駄な部分は見受けられなかった。

良くも悪くも薄味になった感のある一冊。ただ、前が濃すぎただけで1つの作品としてハードルは十分クリアしている。

あと、「全員、全部屋、念入りにやりましたよ。」(P219)と言っておいて「あなた方は私に遠慮して~」(P335)ってそれはないだろう…。

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奪取(上) (講談社文庫)奪取(上・下)/真保 裕一

C

 

 

 紙幣と印刷に関する知識がこれでもかと詰め込まれ、挑もうとするハードルの高さとそれを越えんとする主人公達の努力を実感させてくれる。

ただ、そういったウンチクは読んでいておもしろいものとは言えず、面倒に感じる人は少なくなさそう。

コンゲームの部分はトリックがありがちで、この手のジャンルでは“王道”というよりひねりが足りないと言った方が適切だろう。

よくある形ながらも、綺麗に着地してくれた締めは〇。

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くたばれPTAくたばれPTA/筒井 康隆

C

 

 

 『ボッコちゃん』や『1999年のゲーム・キッズ』のようなオチのある小話的なものではなく、本当に短い小説という感触。

『猛烈社員無頼控』のようなギャグマンガ的な描写でも自然と情景が浮かぶ文章や、多彩な内容はさすがと言ったところ。

 ただ、逆をつけば楽しみ所がよくわからない話に出会いやすい。『モーツァルト伝』は史実を改変しているのはわかったが、それの何がおもしろいのか理解できなかった(私が氏に疎いのもあるだろうが)。

しかし、センス抜群な表題作といい、皮肉のほとんどが今にも通ずるとは…人間がいかに進歩しないかである。

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キリサキ (富士見ミステリー文庫)キリサキ/田代 裕彦/若月 さな

C

 

 

 『ダレカガナカニイル…』をさらに複雑にした感じ。

おまけに説明が少しわかりづらかった。特に、時間の流れに関する部分では誰もが引っかかるのではないか。

 時系列を無視して、それぞれの人物に何があったか個々の事実だけを見れば飲み込みやすくなるか。

 なんにせよSF的にもミステリー的にも予想以上に手の込んだ作品ではあった。

余談だが、『ハサミ男』に似ていると思って読んでいたら、カメラのレンズを「バズーカ砲」と比喩していて苦笑させられた。

あと、3枚目のカラーイラストからさっするに、あれは学校の制服なんだよな?

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裁くのは誰か? (創元推理文庫)裁くのは誰か?/B・プロンジーニ/B・N・マルツバーグ( 高木 直二)

C

 

 ある種の禁じ手的なオチ。

私も驚いたが、冷静になるとありかなしかきわどいところだと思った。下手に不可能犯罪に見せようものなら総スカンまちがいなしのラストだが、作者も承知しているのか、謎が凝っていないため許す気分になれる。

 (少なくとも映画では)たくましく描かれることが多い中、弱りきった大統領という題材も新鮮だった。

 ミステリーファンには合わない、どんでん返し好き(その中でもさらに人を選ぶ気はするが)向けの一冊。

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フィッシュストーリー (新潮文庫)フィッシュストーリー/伊坂 幸太郎

C

 

 

 イマイチ。

そもそもの謎かけが弱く、先が気にならない『動物園のエンジン』。

 『サクリファイス』はミステリーとして調査に徹するわけでもなく、ストーリーもおもしろくない。解説(佳多山 大地)での解釈にはなるほどと思わされたが。

唯一及第点に達していたのが『フィッシュストーリー』。ちょっと変則的な形で夢が叶うのが良かった。

『ポテチ』は100ページもダラダラとやりすぎ。上手に使えば『チルドレン』の『チルドレンⅡ』並みに盛り上がりそうなネタだけに惜しい。伏線を張りまくろうとする意思は良かったのだが。

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冤罪者 (文春文庫)冤罪者/折原 一

C

 

 

 ネタは悪くないが、もったいぶりすぎた。

五十嵐がミカの部屋に踏み込んだ時点で全部ばらしていればなかなかに衝撃的だったろうに。 小出しにしたせいでパワーダウンしてしまった。

 P580の第3段落の記述もおかしくないか?

満足感が薄いため、長々と書かれた物語についてももう少し短くならなかったのかと思ってしまう。村越とかもうちょっとチョイ役でも良かったのでは? 冤罪事件の長さを表現した、とも思いづらい。

同じ文を必要以上に何度も見せられた気がするのも気のせいだろうか?

ちなみに一部で“~者シリーズ”と呼ばれているよう(あえてこういう書き方をするのは、作者サイト『沈黙の部屋』でシリーズ扱いされていないため)だが、これだけ読んでもまったく問題なし。

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ディプロトドンティア・マクロプス (講談社文庫)ディプロトドンティア・マクロプス/我孫子 武丸

 

 

 最後の展開にぶっ飛ばされる。

それが良い意味になるか悪い意味になるかは読者次第。作者の経歴とあらすじの「ハードボイルド」という言葉に多くの人が後者となるであろう事は確実だが。

 私自身は微笑む程度の余裕を持って読めたものの、やはり『黒い仏』や『ファンタズム』と同系統の作品であるという点は看過しがたい。 他の2作品に比べて謎を全面に押し出していないのが救いか。

ちなみにタイトルの意味はラテン語から直訳で“草食有袋類亜目オオカンガルー”(情報元はここ。講談社の『IN-POCKET もうひとつのあとがき』だと思われるのだが、ページの作りが不親切で確信できず)。

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終りなき夜に生れつく (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)終わりなき夜に生まれつく/アガサ・クリスティー(乾 信一郎)

C

 

 タイトルセンスが〇。直訳の“終わりなき夜”より語呂もセンスもずっと良い。

 ただ、そこ以外は凡作。

 短編でもできた内容だと思う。

 オチ自体はこれと同じだが、本作は明らかに推理部分に重きを置いておらず(私が事前にネタを知っていたのを差し引いても)衝撃度は薄い。ストーリーもそうおもしろいものでもない。

最初からネタをばらして進めるか、中盤までエリー視点で書くかした方が良かったのでは?

つまらなくはないが、物足りなかった。

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