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スクランブル (集英社文庫) スクランブル/若竹 七海

C




青春小説として良質。高校生特有の増長や焦りをうまく表現しており、視点を変えることでいろいろな性格を扱ったのも良い。対する教師陣の描写の薄っぺらさは少し気になったが。
ミステリーとしては推理が小出しになっているせいでインパクトに欠ける。解説(佐々木譲)にあるような連作短編集との勘違いは解決の印象が各章のそれより薄いことが原因だろう。
序盤のミスリードが非常にわかりやすいのも残念。
あと『冷たい校舎の時は止まる』でも思ったが、高校生にやたらと煙草を吸わせたがるのはなぜなのか。

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ミステリオーソ (ハヤカワ文庫JA) ミステリオーソ/原 りょう

D




ハードボイルドな生き方をしつつもどこか小心な原さんの人柄は伝わってきた。
が、おもしろくはない。やたらと書き連ねられる固有名詞でリーダビリティは低く、内容も所感より解説の面が強いためエッセイとしての魅力は薄い。
映画評の基準変化(p168)など端々に書かれる考えにはやはり光るものがあり、もっとそこを掘り下げて欲しかった。
久しぶりに原さんの分が読みたいぐらいの気持ちで読んだが、ジャズにかなり興味がないとつらい1冊。

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2999年のゲーム・キッズ (ファミ通ブックス) 2999年のゲーム・キッズ/渡辺 浩弐 <単行本>

D




実在の技術を下敷きにという特徴が2999年を舞台にしたことでなくなっており、作品の魅力を大いに減じている。オリジナルのショートショートとして読んでも意味不明な話が多くまるでおもしろくない。
また、上下の余白が広く文字も大きいため本自体は今までと同程度の大きさなもののボリュームは大幅に少なくなっている。
同じ作者の同じシリーズがいきなりここまでつまらなくなったことに驚き。
あとP201みたいなのはせめて読み飛ばしても問題ないような中身でやって欲しい。

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女王様と私 (角川文庫) 女王様と私/歌野 晶午

D




これの悪夢再び。
あちらがテーマ性もあり1つの事件に複数の展開という楽しみ方があったのを鑑みると劣化版と言わざるを得ない。
一応ミステリー的な解は示されるものの、それがあまりおもしろくないのも問題。
ありきたりな話を書かかない意気は伝わってくるけど、おもしろくなくてはしかたない。
「おにぃちゃん」のような文が多用されるためリーダビリティも低い。
あと、最後のなぞなぞの答えはダイエーでいいのだろうか。

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犬はどこだ (創元推理文庫)犬はどこだ/米澤 穂信

C




米澤さん成長したなあ。『氷菓』より謎解きも話も格段に良くなっている。特にストーリーはどこかゆるい雰囲気があっただけに衝撃的な結末だった。
チャットでの推理も『麦酒の家の冒険
のディスカッションをさらに端的にした形で良い。
ただ、単発作品にしてはキャラが凝りすぎではないだろうか。それがおもしろさにつながっているのだがやはりもう少しシンプルでもよかったと思う。
あと、「知識が認識を変える」(P247)というのは何度も経験しているのに概念として意識したことはなかった。

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O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)O・ヘンリ短編集/O・ヘンリ(大久保 康雄)

B




変わった設定を使わず、街角のドラマでここまでいろいろな話を書いたことを評価。
人物や情景の描写・語り口がしっかりしているのでオチは弱いものの楽しめる。
ご都合主義な部分ですらこんなすてきな偶然があってもいいじゃないかという気分にさせてくれる。
ただ『多忙な仲買人のロマンス』のオチだけはさすがに無理があるし、あまりおもしろいとも思えなかった。

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目撃者ご一報下さい (集英社文庫)目撃者ご一報下さい/山村 美紗

E




人が死んだのに「胸がわくわくして」(P118)くる麻知子や友人が死んだのに観光旅行を楽しむ『椅子とりゲーム』の面々と人格破綻者ばかり。
推理部分は一読するだけで穴が見つかる話も多く、『尼僧殺人事件』はみどりが危機を感じていても実際それが起きた証明にはならないし、表題作のあのトリックで犯人が被害者の死を確認せずに立ち去るのはありえないだろう。『虹への失踪』なんてトリックと呼ぶのかこれ。
すべてが低品質のあまりにも酷い1冊。

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容疑者Xの献身 (文春文庫)容疑者Xの献身/東野 圭吾

C




トリック自体は古典の応用なのだが、ミスリードがうまい。
しかし人物の行動には疑問の残る部分があり、石神が靖子につくす理由が結局ルックス(正確に言うとそうではないかとかろうじて伺える程度の描写)だけなのは残念。
また、靖子は石神の出所を外で待ち続けるという選択肢はとれなかったのだろうか。
以上の2点がどうにも気になってしまい、ラストもイマイチ楽しめなかった。

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笑うな (新潮文庫)笑うな/筒井 康隆

D




解説(横田順彌)のありがたいお言葉によれば楽しめない側に問題があるそうなので、問題のある人間の愚痴として書く。
予想外というより突拍子もないオチが目立ち驚いたり笑ったりするよりとまどうことの方が多かった。
『客』などなにがおもしろいのかさっぱりわからなかった。
時間移動してきた日蓮が総花学会(そうかがっかい)の会合に参加する『来世法華経』なんかはなかなかおもしろかったのだが、これは自分が物語に求めているおもしろさなのかと考えると少し疑問が残る。

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予知夢 (文春文庫)予知夢/東野 圭吾

C




前作から上手に進化させた。トリックに科学を用いるのはそのままにミステリーとしての焦点を別の位置に置くことでエンターテイメントとして成立させている。
ただ、それで楽しむには少々ひねりがたりず、どこかで見たような話とどこかで見たような事件の顛末という感じは否めない。
オリジナリティの部分が読者を求心しないのはやはり痛いか。
不可思議現象もオカルトとして型にはまったものばかり。

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殺人鬼 (新潮文庫)殺人鬼/綾辻 行人

C




グロテスクな描写が非常に多く、あの手この手で痛々しい殺戮を見せつけてくる。
この手の作品だと細かい破壊が多いため、怪力を利用して頭蓋骨をはさみ潰すというのはなかなか見られない豪快さ。
どんでん返しはホラーの味付けなら悪くない程度。瞬間的な驚きはあるものの伏線回収にしたがい無理矢理さを感じるように。
また三人称視点という形式にしても多すぎる視点移動のせいで読みづらいのは否めない(トリックのためかもしれないが)。

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探偵ガリレオ (文春文庫)探偵ガリレオ/東野 圭吾

D




トリックは原理的には文系でも理解できる程度の簡単なものだが、そもそも物理トリックは不可能犯罪を機転で覆すのがおもしろいのであって専門的な技術を使ったらできましたなんて謎解きとして成立していない。
ストーリーがそこそこおもしろいため退屈こそしないものの、謎解きがおもしろくないというのはミステリーとして致命的。
『燃える』のダブルミーニングは少しおもしろかったが。

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バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)バイバイ、ブラックバード/伊坂 幸太郎

D




『グッド・バイ』未読。
読者の望んでいるものが書けたとは巻末インタビューの言葉だが、盛り上がらない話をキャラ付けと冗談をまじえた文章でどうにか読めるものにしている辺り、最近の傾向に属する作品だと思う。
SOSの猿』もそうだったのだが、変な人物が誰かに迷惑をかけているとはっきり書かれるようになり、繭美に少しずつ親身になっていくという本作の足を完全に引っ張っている。多くの読者が彼女よりもラーメン屋や宝石店の店員に感情移入するのではないだろうか。

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極大射程〈上巻〉 (新潮文庫)極大射程(上・下)/スティーヴン・ハンター(佐藤 和彦)

C




主人公が国家規模の陰謀に巻き込まれるというよくあるタイプのサスペンスだが、こだわりきった銃の描写が本作のオリジナリティである。
特にボブが狙撃に関する知識で犯人の行動を推理していく場面は他にはないおもしろさ。
反面、読者にも銃に対して多少の興味が要求され、初歩的な知識がなければ旋条痕偽装トリックなど理解できない部分もあるだろう。

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ストレート・チェイサー (光文社文庫)ストレート・チェイサー/西澤 保彦

D




あいつが幼稚だこいつが幼稚だとあいかわらずのヘイトスピーチにうんざりしつつも読了。
このトリックをやりたいなら魔法の真偽は明確にしておくべきだったろう。
事件のあらましが推理されていく場面には伏線回収による楽しさが少しはあるものの、提示した謎に対する解答ははっきり言ってくだらない。読者の誰もがまさかこのトリックではないだろうと予想から外すネタがそのまま正解になっている。
オチも違和感のある文章でわかりやすい。あと、電話の内容がまったくの抜けなく聞こえているのはおかしくないか?

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十二の意外な結末 (新潮文庫)十二の意外な結末/ジェフリー・アーチャー(永井 淳)

D




話として無駄な情報が非常に多く、アメリカンジョーク程度のネタにたっぷりのぜい肉がつけてある。
そのうえ翻訳物特有の持って回った文章のためモチベーションを保つのに難儀させられた。
タイトルにあるような意外な結末もほとんど見られず、『掘り出しもの』などこれを意外な結末と呼ぶなら、花咲かじいさんですらどんでん返しと評することになるだろう。
解説で作者の速筆を讃えているが、本書を読む限り粗製乱造という印象にしかならず。

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Story Seller〈2〉 (新潮文庫)Story Seller2/沢木 耕太郎/伊坂 幸太郎/有川 浩/近藤 史恵/佐藤 友哉/本田 孝好/米澤 穂信

C


伊坂さん、近藤さん、佐藤さんについては前作『Story Seller』と同評価(伊坂さんはザッピングではないもののファンの求めるものをしっかりと用意している)。有川さんも途中までは“また自分の気に入らない人間を叩く小説か”と思っていたが、ラストで一気に好転させてくれた。逆に落ちたのが米澤さんで子供らしい姉弟関係はよく書けているのだが、あまりにも退屈な物語が足を引っ張っている。沢木さんはカクテルに関する思い出とうんちくだけでエッセイとしておもしろいとは感じなかった。本多さんは序盤で主人公が怒った時のやりとりといい全体的にチープさが…。

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The unseen見えない精霊 (カッパ・ノベルス―カッパ・ワン) The unseen 見えない精霊/林 泰広 <新書>

C




ストーリーのぜい肉を徹底的にそぎ落としているため非常に読みやすく、それでいてテーマが明確なため味気なさは感じない。
ただ、それゆえ伏線が目立ちやすくオチは読みやすい。また『姑獲鳥の夏 』でも感じたことだが禁じ手ギリギリのトリックというのはフェアにする方法、使い方に感心こそすれど不可能犯罪の解としてのサプライズにはなりづらいと思う。

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SOSの猿 (中公文庫)SOSの猿/伊坂 幸太郎

C




またつかみ所のない話を書いたなというのが真っ先に思った感想。
娯楽としては『あるキング』とどっこいどっこいなのだが、孫悟空というマクベスよりは親しみやすいモチーフとキャラ付けのうまさのおかげでこちらの方が比較的楽しめる。
ただ、あくまでも比べたらであり、単体としての感想は『砂漠』に近い。
終盤の人を食ったような展開はマンネリ回避として個人的には評価したいが、この作品で初めて作者の本を読む人からはひんしゅくものだろう。

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最悪 (講談社文庫)最悪/奥田 英朗

B




ドミノ』は連鎖的に大きくなる混乱を描き、『ラッシュライフ』はつながりそのものに意外性を持たせ、『最悪』は他者からは図りえない事情というものを描いている。
終盤における銀行からの逃亡は失笑物のめちゃくちゃぶりにも関わらず、彼らの抱えたものをしっかり描写することで説得力を持たせている。日常に現れた陰りに翻弄される真理がよく書けている証左だろう。
悪役扱いの太田ですら妻の偏頭痛というのを加味するとあの行動もうなずける。

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三枝
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非公開
趣味:
読書・映画・ゲーム
自己紹介:
S
稀に見る傑作。

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おもしろい。

B
まあまあ。

C
標準ランク。人によってはB。

D
微妙。

E
読むのが苦痛なレベル。

F
つまらないを越えた何か。

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