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カーテン (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)カーテン/アガサ・クリスティー(中村 能三)

C

 

 

 ポアロシリーズに思い入れのある読者ならばショッキングかつ感無量な内容だろうが、何作か読んだだけの私には並程度。

 Xの手口がなんとも微妙。

 証拠より人間観察に依る部分が大きく、最後のヒントは予備知識が必要。正直、謎解きを楽しめたかと言われると怪しい。

 解説(山田 正紀)の分析はよかった。

 ところで、真犯人が隠されたまま発表された推理小説があるという豆知識を聞いたことがあり、それが本作だと思っていたが調べなおしてもそれらしい情報が出てこない。記憶違いだろうか…

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法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー (角川文庫)法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー/アンソロジー

A

 

 

 選者のセンスが伺えるハイレベルなアンソロジー。

『誰がベイカーを殺したか?』は短編ならではのネタで、驚きと当たるわけないだろうという脱力感の混じりあった感覚は『どんどん橋、落ちた』に近い。

『脱出経路』は長編からおもしろい部分だけ抜き出したかのような出来で、監禁された者の手記という他の作品にはない魅力があった。

 この本を知るきっかけとなった『ひとりじゃ死ねない』はいかにも『消失!』の作者といった感じ。驚きは一歩足りないが脱力面では劣らず。

話のバリエーションが豊かゆえ必然誰が読んでも楽しめる話とそうでない話が出るのが難か。

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首無の如き祟るもの (講談社文庫)首無の如き祟るもの/三津田 信三

B

 

 

 ネーミングに記号的なものを感じてしまう程わかりやすくしたのは〇。待望の地形図もついて前2作(『厭魅の如き憑くもの』『凶鳥の如き忌むもの』)より圧倒的に読みやすくなっている。

 それでいて真相は今まで以上の衝撃。

 ただ、やはり推理更新方式は真相を小出しにしているようにしか見えず、パワーダウンにしかなっていないと感じる。

余談だが、栄螺塔構造図(P107)を見た時『Q.E.D.証明終了』13巻のクラインの塔と同じネタかと嫌な予感がしたがまったくの杞憂だった。

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さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)さむけ/ロス・マクドナルド (小笠原 豊樹)

C

 

 

 容疑者を減らしに減らした後でも結末はなかなかに意外。ただ、伏線回収の妙などはなく、必然衝撃の度合いも低くなる。

 ストーリーはハードボイルド物で主人公の気のきいた言い回しが読んでいて楽しい。

 途中がそれほど退屈でなく、結末も意外と水準はクリアしている作品。

 ただ、人間関係が少々入り組んでおり、巻頭の人物表に活躍してもらうことがしばしば。

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花嫁のさけび (ハルキ文庫)花嫁のさけび/泡坂 妻夫

C

 

 ヒッチコックの『レベッカ』だなと思いながら読んでいたらやられた。

手垢でベタベタなオチ(ミステリーとしての仕掛けも終盤の展開も)だけどミスリードがうまい。伏線が細かすぎるのは難だが。

 あと、映画関係者の貴緒賛美には狂気的な気持ち悪さを感じたものの、やはり途中が退屈(この人の作品で毎回そう書いてる気がする)。

あと、『レベッカ』を観てないのにあらすじを知っているのは泡坂さんの別の小説に書かれていたからだと思ったのだが…どの本か思い出せない。

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リング (角川ホラー文庫)リング/鈴木 光司

C

 

 

 意味不明なビデオから次々と調査の糸口を見つけていくのはおもしろかった。

竜司の名探偵っぷりと、きちんとビデオに手がかりを残す作者に感心させられる。

ただ、ホラーとしてみるとあまり怖くない。このジャンルを読み慣れている人は全体の文章から恐怖を感じ取るのかもしれないが。

また、有名作の弊害か、ビデオが出た時など、作品自体に非はないのだが予定調和に感じてしまった。

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退職刑事 (1) (創元推理文庫)退職刑事1/都筑 道夫

C

 

 

奇妙な謎と意外性のある解決という推理小説のお手本のような内容。

ただ、論理を積み重ねてくというより数ある可能性から事実と矛盾しないものを選ぶというやり方なので、本当にそれであってるのか?と思ってしまう(『空飛ぶ馬』でも近いことを感じたが)。

 そのため真相にも驚けない。

また、あとがきを読む限りわざとマンネリにしているようだが同じ内容なら書く必要ないでしょ。奥さんの毎度の顔見せはいらないだろう。

推理小説的お約束の様式美とマンネリは違うと思う。

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動かぬ証拠 (講談社文庫) 動かぬ証拠/蘇部 健一

D

 

 

 推理物でいう“最後の一行”物を“最後の一枚物”に変えただけで、絵である必要性の薄い話ばかり。『しあわせの書』のように成立させたことを褒めるほどでもなく、発想自体もそうおもしろくはない。

読み物としても全体的に長ったらしく、削りに削れば4コママンガにできるのではというものすらある。

おまけにオチは予想外なのにおもしろくないというなんとも残念なものが少なくない。

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凶鳥の如き忌むもの (ミステリー・リーグ)凶鳥の如き忌むもの/三津田 信三 <単行本>

D

 

 

前作『厭魅の如き憑くもの』はホラーとして楽しんだが、今作はまったく怖くない。事象をロジカルに捉えて進むうえ、怖がらせようという意思そのものを感じなかった。

 また前作では雰囲気作りに一役買っていた土着信仰描写も蛇足感が強まる。

 おまけにトリックには無理がある。チベットの例を出していたけどあれは解体してあの時間なのであって、そのままの場合完遂できるかどうかすら怪しい。

 あと、やはり地形図は欲しいところ。

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実験小説 ぬ (光文社文庫)実験小説 ぬ/浅暮 三文

D

 

 

前半は『しあわせの書』『生者と死者』のようなおもちゃ短編集。

『カヴス・ガヴス』はよくやるなと感心した。 逆に『お薬師様』は混ぜこぜにした話を2周目で時系列順に読ませるだけでちょっと残念。

 一方、後半は『まだ旅立ってもいないのに』のような意味不明さ。

実験的という意味では十分だが、読み物としておもしろいかは少々微妙。“思いつき”を作品として楽しめる“アイディア”にまでもっていけてない面もあると思う。

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厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)

厭魅の如き憑くもの/三津田 信三

C

 

 

』を彷彿とさせる濃厚さ。

夜道を一人歩くような言いようのない不安で不気味な雰囲気はみごと。物語への没入度が高く、自然そこで語られる怪異も怖さを増す。

 ただ、言葉尻をtpらえるような細かい複線は読者に自主的に気づかせるべきであって、本編で堂々と出すならもうちょっとパワーが欲しかったか。

 また、村の歴史などはよく考えたなと感心させられる反面、それ本筋に関係あるの?と説明の長さに平行させられる。

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砂漠 (新潮文庫)砂漠/伊坂 幸太郎

C

 

 

 あいかわらずキャラ描写は上手(『彼女が死んだ夜』のタックシリーズを思い出す5人だ)。

 が、ストーリーが他愛なさすぎ。事件は起きているが、フィクションとしては平凡すぎる。さりげなく伏線を引いて、爽快な回収というのも一応やってはいるが歴代作品に劣る感じ。

最近、伊坂作品を読むと上記したような感想ばかり浮かぶが、単に私が飽きてきただけなんだろうか。

あと、P283の売れる小説どうこうはスタンスの表明って事でいいのかね。『オーデュボンの祈り』でも寓話について似たような事を書いてた気がするし。

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メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫) メドゥサ、鏡をごらん/井上 夢人

C

 

 

最初ページを開いた瞬間に感じた違和感が氷解した時(P374)、世界が崩壊し読者すらも怪異に巻き込む。

 物語が荒唐無稽にならず、それでいて自分が同じ状況になったら発狂しそうな理不尽さの加減がちょうど良い。 メドゥサのデザインも良く、特に目の部分は怨霊的な不気味さと怪物的なそれを併せ持っている。

難点は明らかに不必要なほど長い事で、ミステリーかと思うくらい細かく事件を説明する事はなかったと思う。

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学校であった怖い話学校であった怖い話(上・下)/飯島 健男/南部 佳絵

D

 

 

 ゲーム版の良さが選択肢による展開の多様さだったため、そういう意味ではややハンデを抱えている作品。

高木ババアの話は丈の長さ相応に楽しませてくれたが、他はイマイチ。 小説ならではの表現を気にするあまり過激な描写ばかりが目立ち、恐怖という要素が薄く感じた。

 また、語り手の性格も変わっており話している様子がイメージしづらい(荒井の「ひひ……」はちょっとね)。

ゲームからそのまま持ってきたような文章で情景描写も薄め。

あと、風間の話はもう少し短くならなかったのか。

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シナオシ (富士見ミステリー文庫)シナオシ/田代 裕彦/若月 さな

C

 

 

 前作(『キリサキ』)は現行基準でいけばBランクだが、本作はこの評価。

作品として一歩劣るのもあるが、本作が続編(姉妹編?)であるというのが大きい。同じ舞台同じ設定で似たような話を為直す意味がわからない。

キリサキ既読者でこの真相に衝撃を受ける人はまずいないのではないか。

おまけに説明のわかりづらさはそのままときた。

あと、前作と同じ学校を舞台にするなら制服のデザインくらい統一すべき。P161からすれば夏服と冬服というわけでもなさそうだし。

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どんどん橋、落ちた (講談社文庫)どんどん橋、落ちた/絢辻 行人 <再読>

B

 

 

 初めて読んだ時は素直に驚いたが、改めて読むと見事なまでのバカミス。

だが、それでも『ぼうぼう森、燃えた』の秀逸さは色あせない。1話目でやられて地団太を踏んでいる読者の足下にビー玉を転がすような憎たらしさ。

ただ、全編通して内輪ネタの気があり、U君の正体が過去の作者などわかりっこない。本来なら解説がその辺りをフォローしてくれるのだが、残念ながら本書解説はその用を為していない。

しかし、『名探偵の掟』といい、この手の悩みは推理作家共通なのか。

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さまよえる脳髄 (集英社文庫)さまよえる脳髄/逢坂 剛

D

 

 

 がっかりオチ。発表当時は違ったのかもしれないが、今となってはハズレオチでありきたりなうえにおもしろみもない。

脳についてきちんと取材しており、精神病や脳機能障害にかかった人物の描写は興味深かった(特に海藤)。

 ストーリー自体は、犯人に終われる部分が少しサスペンスフルなものの、そうおもしろいものでもない。

あと、最後の犯人の言葉が小物臭全開なのも残念。

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夢ビデオ―2000年のゲーム・キッズ〈2〉2000年のゲーム・キッズⅡ 夢ビデオ/ 渡辺 浩弐

B

 

 

 ハイテクに対する発想の転換とキレのあるオチは安定しておもしろい。

今回、読んでいて気づいたが、作者はたとえ話をいれてわかりやすく説明するのが上手だと思う。62話『宿命』で性的嗜好を天気の好みに当てはめて説明された時は感心した。

ハイテク技術を扱う小説でこれはそうとうな武器になると思う。丈の限られた短編ではなおさらだ。 

お気に入りは45話『パパママとママパパ』66話『子はかすがい?』

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『瑠璃城』殺人事件 (講談社ノベルス)『瑠璃城』殺人事件/北山 猛邦 <新書>

D

 

 きちんと物語にけりをつけただけ前作(『『クロック城』殺人事件』)よりは評価できるが、できの悪いラノベのような内容はあいかわらず。読み始めて作者の筆力にげんなり、慣れた頃にスノウウィのきざなセリフにまたげんなり。

SF設定をルール付けなしで城のトリックに使ってしまったのも×。最後のオチに使うだけなら良かったのだが。 

トリック自体は私がこの手のものが苦手なので客観的に評価はできないが悪くないと思う。

あと、これとネタが被っているような気がするが…よくあるものなのか?

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6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)6時間後に君は死ぬ/高野 和明

C

 

 

 今までの作品で良かった所をなくしてしまった。

綿密な取材に基づいた社会的要素はないし、ストーリーもややありきたり。短編集だからか、映像化を念頭に書かれたからか。

ファンとしての期待値を差し引いても凡作と言わざるを得ない。

目立った欠点のある作品ではなく、それなりに楽しめる本ではあるのだが、デビュー作の『13階段』をピークとして1作出すごとに落ちてきているので、次作で盛り返して欲しい所。

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