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前書き
本筋とはほぼ関係ないので興味のない方は「続きはこちら」を押して本文へどうぞ(検索サイト等から直接記事にアクセスしている方は「1.ゲームとは~」まで飛ばせばOK)。

最初に断っておくが、私はDLC(ダウンロードコンテンツ)なんて消えてしまえと言いたくてこの文を書いたわけではない。

この問題に興味を持って検索してみたものの、特定のDLCへの文句やどのDLCなら許せてどのDLCならアウトかという個人的基準を記した文章はあってもある程度の客観性をもって嫌いな理由を分析しているものが(少なくともグーグル検索10件以内には)なかったため、私が書こうというだけの話である。

ここは書籍のレビューを扱うブログである。時々アドベンチャーゲームのレビューを書くが、物語を楽しむという点で小説との親和性が高いと考えてのことだ。

だからこのブログでゲームに関する記事を書くことは場違いなのだが、私はここ以外に意見発表の場を持たないためそこには目をつぶるかたちとなった。

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メモリーズオフ ゆびきりの記憶(初回限定版)メモリーズオフ ゆびきりの記憶/5pb <XBOX360>

C

 

 

メモリーズオフシリーズ初プレイ
エンディング・シーンタイトル・アルバムコンプリート
既読率:99.79%
プレイ時間:47時間
実績:985
以上の状態で書いたレビューです。

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Steins;Gate (シュタインズ・ゲート) (通常版)Steins;Gate/5pb./ニトロプラス <Xbox360>

B 

 

 

演出強化DLC適応済み
プレイ時間:49時間
実績:990
エンディング・アルバムコンプリート
TIPS数221/224
という状態で書いています。

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428 ~封鎖された渋谷で~428 封鎖された渋谷で/スパイク/チュンソフト <PSP>

A

 

虹の栞出現済み・プレイ時間67時間 という状態で書いています。

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SEGA THE BEST 街 ~運命の交差点~ 特別篇街 ~運命の交差点~ 特別篇/セガ/チュンソフト <PSP>

B

 

NORMAL セーブ225回 完10 終115 ピンクの栞・金の栞獲得
HARD セーブ44回 完10 終122 同上

NORMALをクリア。
数ヵ月後に428をプレイ。
さらに数ヶ月おいてHARDをクリア。
という順で遊んでいます。

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アマガミ(特典なし)アマガミ/エンターブレイン <PS2>

C

 

 

 プレイ時間不明。
「オールコンプリート!」(32・34)出現済み。
1枚絵コンプリート。
イベント未コンプリート。
という状態で書いています。

中学生の時デートをすっぽかされた事でクリスマスにトラウマを持つ主人公、橘純一。
今年こそは楽しい聖夜にしようと一念発起する彼の6週間を描いた恋愛シミュレーション。

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アマガミ考察1 橘純一は疫病神なのか?

 

ネタバレあります。

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アマガミ考察2 絢辻詞の献身

アマガミ考察1 橘純一は疫病神なのか?の続きです。

前置き
長ったらしい上にどうでもいいので興味のある方以外は「続きを読む」で飛ばていただきたい。

考察1で書いたように不幸になるヒロインがいるものの、絢辻さんは違うと思っていた。
彼女が仮面を外し、真の性格でエンディングを迎えるスキBESTこそが最良だと思っていた。
クリスマスまで仮面をつけて過ごすナカヨシルートの彼女は不幸だと思っていた。
が、下記の考察を読んでその印象は崩れた。
( 凸)< ブブーン、ドドドーゥ !!|アマガミ:プレイ雑記その2/絢辻詞
不死鳥の夜明け「絢辻さん 僕の前では我慢なんかしなくていいから」
正直いまだに飲み込めていない部分もあるが、説得力のある内容である。
後々の事も考えるなら人間として成長できているナカヨシルートの方が良かっただろう。
だが、私はこれを読んでいるうちにある考えを持つようになった。
クリスマスという1日限定で観れば彼女が最も幸せなのはスキルートである、と。
以下、その根拠を列挙する。

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学校であった怖い話S学校であった怖い話S/バンプレスト <PSP>

B

 

 

 プレイ時間不明。
攻略率不明。ただし、隠し01・02は両主人公共に出現済み。
スーパーファミコン版は所持するもほとんど遊ばず。

旧校舎の取り壊しを機に学校であった怖い話の特集を組む事になった、主人公属する新聞部。その担当となった主人公は、日野先輩により集められた7人から怖い話を聞く事になる。ところが、当日の集まりにいたのは6人だった。7人目を待たずして、主人公達は学校であった怖い話を始めるが…。

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『食堂の小ビン』

俺が1話目か。
俺の名前は新堂誠。
3年だ。
これは俺が1年生の時の話なんだがな、俺のクラスに深口徹ってやつがいたんだよ。
これがとにかく食い物にうるさい奴でさ。
美食家ってやつか?
うまいものを食うのが生きがいみたいな奴だった。
グルメって言うと高級料理なんかが好きそうなイメージがあるだろう?
でも、深口はそうじゃない。
コンビニでも売っているような、どこにでもあるような物から探すのが好きだったんだ。

そんな深口が入学してさっそく目をつけたのが、この学校の食堂さ。
入学初日から食堂のメニューを順番に頼んでいってな。
どんな味がするのか楽しみにしていたんだよ。
でも深口はあの味じゃ満足しなかったんだ。
毎日毎日、ガッカリした顔で食堂から帰っていったよ。
中学まで昼飯は給食だろう。
新しく始まる高校生活にどうしても期待してしまうんだよな。
そして期待が大きい分、外れた時の落ち込みも大きいんだよ。
それで、学食のメニューの数なんてそんなに多くないだろう。
2月もしないうちに奴は食堂のメニューを制覇しちまったんだよ。
結局、奴のおめがねにかなうようなものはなかったらしい。
で、その後の深口なんだがな、奴だって普通の高校生さ。
安さと便利さに負けてそのまま学食に行き続ける事にしたんだよ。
別に食うもの全部にこだわりがあるわけじゃなかったからな。
奴のグルメはあくまでも趣味の範囲だったんだ。
だがな、奴はただでは転ばなかった。
自分なりに味を付けてみる事にしたんだ。
塩やらコショウやら学食にある調味料で料理を生まれ変わらせようとしたのさ。

でも、味を付けるっていってもそう簡単にいくもんじゃない。
毎日、色々試してはいたものの、元より酷くなる場合のほうが多かったそうだ。
なかなか思い通りにならずに困っていた深口はその日も調味料のビンを前に悩んでいたのさ。
そして見慣れない物があるのに気づいた。
大きさは他のビンより一回り大きくて、中には白い粉が入っている。
一粒が少し大きめなそれは、昨日まではなかった調味料だ。
塩でも砂糖でもない初めて見るやつさ。
調味料だって食い物には違いないからな。
食い物に関しては好奇心旺盛な深口だ。
さっそくその粉を試してみたんだよ。
とりあえず一振り、ご飯にかけてみたのさ。
「うまい!」
深口は声に出して驚いた。
まるで別のものを食べているような感覚だった。
あれほどまずかった米がまるで新米のような味がするんだよ。
深口はその調味料をご飯全体にまぶしてな、一口食うたびに感動に打ち震えてるんだよ。
あの深口が感激してるんだぜ。
俺もちょっと気になってな。
深口にビンのありかを聞いて、ちょっと味見したんだ。
残ってた飯にかけてみたのさ。
さぞかし良いものなんだろうと思ってたよ。
だが、俺は口の中に入れた飯を吐き出しそうになった。
とてもじゃないが食えたものじゃなかったんだ。
何の味もしないザラザラした硬い粒が口いっぱいに広がるんだ。
まるで砂を食っているようだった。
深口にからかわれたのかと思ったんだがな、あいつはすげえうまそうな顔して食ってるんだよ。
奴は友達にもその粉を薦めて何人かに食わせてたんだが、全員が俺と同じような反応だったよ。
まるで砂みたいだってな。
なのに、深口は不思議そうな顔をして言うんだ。
「なんで? こんなにおいしいじゃないか」
奴以外にその粉を気に入った奴はいなかった。
通にしかわからない味って事で片付けられたのさ。
坂上。
お前、その調味料使ってみたいか?
……だよな。
俺ももう二度とごめんさ。
だがな、他の奴が嫌うのとは正反対に深口はその粉にはまっていったんだ。
最初はご飯だけだったのが、出てきた料理全部にかけるようになってな。
あげくお茶にまでその粉を溶かしてたって話だ。
そのうち自分しか使わないからってその小ビンを私物にしちまったのさ。
食堂から持って帰って1日3食ありとあらゆる食い物にその粉をまぶしてたって話だ。
何食ってもうまくてしかたないって奴は大満足だった。
小ビンについて語る時、奴の顔は輝いていたぜ。
入学したての頃とは大違いさ。

それからだよ。
奴がおかしくなっていったのは。
ある日、いつも通り昼飯を食い終わった後の事さ。
深口は箸をじっと見つめたかと思うと、それをバリバリと食べ始めたんだよ。
口の中が傷だらけになって血が出てるのに、奴はうれしそうに口に含んだ箸を噛んでるんだ。
周りの奴もびっくりしてな。
しばらく呆然として、深口が咀嚼するのを見ていたんだ。
いきなりクラスメートが箸を食いだすんだぜ。
冷静でいられるわけがないよな。
俺もその一人だったんだが、少ししたら。
「お前、なにやってんだよ!」
って、慌てて叫んださ。
それで深口の奴も正気に戻ったみたいにはっとしてな。
箸を吐き出すと口の傷を痛がり始めた。
なんでそんな事をしたのか、自分でもわかってないみたいだった。

だが、それだけじゃ終わらなかったんだ。
深口はそれからも目に付いた物を口に入れ続けた。
消しゴムやチョーク、飾ってある造花、美術で筆を洗うための水……とにかく何でもさ。
例の粉をかければ何でもうまくなるだろう。
食い物とそうでないものの区別がつかなくなってしまったんだよ。
周りの奴が止めようとしても強引に飲み込んだり、気づかれないようこっそり食ったりするんだ。
とうとうトイレ掃除用の洗剤飲んでぶっ倒れちまってな。
救急車で運ばれていったんだ。
俺が深口を見たのはそれが最後さ。
奴は今、精神病院に入院している。
医者も原因がわからなくてな。
良くなる見込みはまったくないってよ。
この間、自分の舌を食べたそうだ。

……例の粉はなんだったのかって?
さあな。
深口が持っていたはずなんだが、いつの間にか消えちまった。
いくら奴の荷物を探しても見つからない。
奴の両親も深口の部屋を探したが見つからないし、本人もカバンに入れておいたはずだって言ってる。

坂上も気をつけろよ。
この学校にはおかしな場所がいくらでもあるんだ。
いつも普通に使っていたのに、ちょっと普段と違う事をしたら……なんて事もあるからな。

俺の話はこれで終わりだ。
次は誰が話すんだ?

→次の話へ

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『旧校舎の殺人階段』

次は私ね。
えっと、まず自己紹介でいいんだよね。
1年G組の福沢玲子でーす。
よろしくー。
坂上くんだったよね?
突然こんな事聞いて悪いんだけどさ、坂上くんって誰か殺したい人いる?
……そうだよね。
もし本当にいたとしても「僕は誰々さんを殺したいです」なんて言うわけないもんね。
冗談冗談!
そんな顔しないでよ。
でね、もう一つ聞きたいんだけど、坂上くんさ、誰かに殺されるような心当たりはない?
……そうだといいけどね。
わかんないよ。
人を殺す理由なんて恨みだけとは限らないんだし。
もしかしたら人間の死に関する研究をしてる人がいて、そのために坂上くんを殺そうとするかも……。
きゃー、怖い!
え?
どうしてそんな事を聞くのかって?
……坂上くんは大丈夫かなと思ってさ。
もしも坂上くんが今の質問に心当たりがあったら、私の話をしっかり聞いてね。
でないと大変な事になっちゃうから。

これはまだ旧校舎が使われていた頃の話なの。
その時の生徒に日坂さんと水元さんって人がいたんだけどね。
この二人、ものすごく仲が悪かったんだ。
生まれた時から憎みあってたのかってくらいにお互いの事が嫌いだったの。
同じ教室にいるのも嫌だったんじゃないかな。
でもね、二人とも大人だったんだよ。
できるだけお互いに関わらないようにしていたんだ。
先生も二人の席を離したりしてね。
なんとかトラブルを起こさずに毎日を過ごしていたの。

ある日、日坂さん用事で帰るのが遅くなっちゃってね。
教室を出た時にはもう外は真っ暗だったんだ。
学校には自分しかいないんじゃないかってくらい静かでね。
物音一つしないの。
聞こえるのは日坂さんの足音だけ。
旧校舎だから歩くたびに廊下がギシギシ鳴ってね。
まるで自分以外にも誰かがいるような気がするんだよ。
怖くって、日坂さんは急いで帰ろうとした。
そして階段の上に着いた時、暗い物陰から何かがぬっと現れたの!
日坂さん驚いて悲鳴上げちゃってさ。
そしたら、その人影も悲鳴を上げたんだ。
よく見たら水元さんだったのね。
彼女も今から帰るみたいだった。
脅かさないでよ、って言おうとしたけど日坂さん黙ったんだ。
言ったらケンカになっちゃうからね。
水元さんも同じ事を考えてるみたいだった。
結局、二人はお互いを無視して階段を降り始めたの。
別の階段を使って帰ったり、降りる時間をちょっとずらしたりしてもいいんだけどね。
やっぱり怖かったんだよ。
真っ暗な校舎に一人でいるよりは、たとえ嫌いな人でも誰かにいて欲しかったんだよ。
いつも通り、お互いに関わらなければいいだけだしね。

でも、夜の学校の魔物がそうさせたのかな。
運悪く、その日は些細な事でケンカになってしまったの。
女の子だから殴り合いとかじゃなくて口げんかなんだけどね。
止める人がいないからどんどんエスカレートしちゃったんだ。
このままじゃいけないと思った日坂さんは、無理やりケンカを切り上げて帰ろうとしたの。
水元さんほっといて、さっさと階段を降り始めたの。

でも、水元さんにはそれが気に入らなかった。
無視されたように感じたのかな。
自分の事を馬鹿にされたと思ったのかな。
とにかくカッとなっちゃったんだよね。
日坂さんの背中を思いっきり突き飛ばしたの。
いきなり後ろから押された彼女はそのまま階段を転げ落ちてね。
その日のうちに死んじゃったんだ。
水元さんもそのせいで学校を辞める事になった。
人を殺しちゃったんだから、当たり前なんだけどね。

それからだよ。
旧校舎の階段に日坂さんの霊が出るようになったの。
嫌いな人と二人っきりであの階段を降り始めるとね、声が聞こえるんだ。
「今がチャンスだよ」
「あと、27段……」
「あと、19段……」
「ほら、もう踊り場まで着いちゃった。
あと、14段……」
って。
日坂さんが語りかけてくるの。
その時に相手を殺すと絶対にうまくいくんだって。
日坂さんが守ってくれるから誰にも見つからないんだよ。
でも……もし下に着くまでに相手を殺さなかったら、逆にその人が日坂さんに殺されちゃうんだって。
怖いよね。

でもさ、私、思うんだ。
きっと日坂さんは純粋に親切心でやってるんだって。
先に手を出さないと、日坂さんみたいになっちゃうよって……。

え?
親切ならどうして何もしなかった人を殺すのかって?
わかんないかなあ……。
口封じだよ。
だって、何もしなかった人をそのまま帰してさ、お払いなんかされたらたまらないでしょ?
「この階段には悪霊がいる!」
なんて言ってさ。
ほら、他人は信用できないから……。
言っておくけど、私じゃなくて日坂さんがそう思ってるって話だからね。
これで私の話はおしまい。
次は誰が怖い話を聞かせてくれるの?

→3話目へ

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『綺麗好きな澄田さん』

2年C組の細田友晴です。
はじめまして。
じゃ、さっそくだけど坂上君、君は掃除を真面目にするほうかな?
……人並み程度ね。
熱心ってわけじゃないけどサボったりはしないんだね。
いやね、僕は当番がトイレになるとどうしてもはりきっちゃうんだよ。
掃除が終わって見ると、水に塗れたタイルが夕日を浴びてキラキラと輝いているんだ。
あの達成感は言葉にできるものじゃないよ。
テストでいい点を取るよりずっと気持ちいいんじゃないかな。

それで、何年か前のこの学校の生徒にとても掃除好きな人がいたんだ。
僕なんかじゃ比べものにならないほどのね。
その人は澄田涼子さんといったんだ。
彼女はとても熱心に掃除をする人でね。
汚れが残っていたら放課後まで残ってそれを落としていたんだ。
すごいよね。
僕もそこまで打ち込む事はできないよ。
でも、彼女は特別マジメだとか綺麗好きというわけではなかったんだ。
ただ、そこに汚れがあるのが嫌だったのさ。
同じじゃないかって?
うーん、例えばだね、壁に落書きがあったとするだろう。
普通の人は雑巾でちょっとこすったりして、それでも落ちなければ諦めるよね。
綺麗好きな人だって、洗剤を使ったりするけど、やっぱり擦って消えなければそれで諦めるさ。
もしくは壁と同じ色で上から塗りつぶしてしまうかだね。

でも、澄田さんは違う。
彼女は落書きが落ちなければ、壁を削り取ってしまうんだ。
彫刻刀を持ってきて、壁の表面をガリガリとね。
当然、そんな事をすれば壁がボロボロになってしまう。
でも、澄田さんは気にしないのさ。
彼女にとっては綺麗かどうかより、汚れがそこになければそれでいいのさ。
要するに目障りなものがそこにあると我慢できない性格だったんだね。

ある日、彼女は体育館脇のトイレの当番になった。
そう、今は使用禁止になっているあのトイレだよ。
その頃はまだ使う事ができたんだ。

当時、あのトイレは不良たちの溜まり場になっていた。
だから、誰も掃除しないし、使う人だっていなかったんだ。
でも、誰も使わなかったとしても少しずつ汚れてはいくものだろう。
澄田さんはそれが我慢できなかったんだ。
自分の担当した場所が汚いままというのは彼女のプライドが許さなかったのかもしれない。
もともと偏執狂みたいな部分のあった人だったしね。
よせばいいのに不良たちの目の前でトイレを掃除し始めたんだ。
入り口の近くにある洗面台を綺麗にしようとしたのさ。
さすがに彼女も不良がいる奥の方へは行きたくなかったんだね。
でも、不良たちにとってはそれすらも気に食わなかった。
舐められていると感じたんだ。
澄田さんにとって自分の掃除場所がテリトリーなように、不良たちにとってはその場所は彼女ら専用のものだったのさ。
なまいきな態度をとったとかなんとか言って彼女をリンチしたんだ。
その日は不良たちの虫の居所が悪かったのかもしれない、自分達を舐めるとこうなるっていう見せしめだったのかもしれない。
澄田さんへの暴力はいつも以上に激しいものだった。
無抵抗な彼女をずっといたぶり続けたんだ。
それが何十分も続いた後の事さ。
澄田さんは痙攣したみたいに身体を震わせた後、泡を吹き始めたんだ。
そして、そのまま動かなくなった。
さすがに不良たちも焦ったよ。
まさか死んでしまうとは思わなかったのさ。
なにも考えずに暴力を振るっていたからね。
殺すつもりはないけど、死なない程度に加減していたわけでもなかった。
坂上君、彼女達は澄田さんをどうしたと思う?
そうだよね。
普通……って言ったらおかしいけど、埋めるだけで済ませるよね。
でも、彼女達はそうしなかった。
澄田さんに暴力を振るった不良は3人いた。
そして、一番下っ端の子に澄田さんの処分を押し付けられたんだ。
名前は……黒川さんっていったかな。
黒川さんは澄田さんの死体を学校の裏山まで運んでいった。
そこに人1人が寝転がれる程度の穴を掘ってね、澄田さんを寝かせたんだ。
そのまま埋めてしまえばよかったのに、黒川さんはそうしなかった。
埋めるだけじゃ、不安だったのかもしれない。
黒川さんは学校からストーブ用の灯油を持ってくると澄田さんの全身にふりまいたんだ。
そして彼女は澄田さんに火をつけたのさ。
火のついたマッチを穴の中に投げ込んだんだ。
途端にものすごい悲鳴が聞こえた。
澄田さんはまだ生きていたんだ。
浅い穴の中で、彼女は炎に包まれてのた打ち回っていた。
黒川さんは驚いて、ただ呆然とそれを見つめているしかなかった。
澄田さんが生きているとは思わなかったし、生きている人間が火だるまになっているのがあまりにも衝撃的でね。
なにもできなかったんだ。
悪ぶっていても女の子だからね。
そうして立ち尽くす黒川さんの足を、穴からぬっと出てきた手が掴んだ。
澄田さんだよ。
彼女はそのまま黒川さんを穴の中に引きずり込むと、しっかりとしがみついたんだ。
また、裏山に悲鳴が響き渡った。
今度は黒川さんのものさ。
頭が真っ白になるような強烈な痛みが全身に襲い掛かるのさ。
悲鳴を上げるために息を吸い込めば、入り込んだ炎が胸の中を焦がすんだ。
いくらもがいても澄田さんは決して黒川さんの身体を離さなかった。
彼女は生きたまま焼かれ続けたんだ。
それも一気にじゃない。
自分の身体に火がついているんじゃないからね。
焼きゴテを体中に押し付けたみたいに、ジリジリと焼けていったのさ。

次の日の朝だよ。
学校に来た先生が生徒二人の死体を発見したんだ。
死んでいたのは澄田さんをリンチした不良たちさ。
黒川さんに澄田さんを押し付けた二人だね。
酷い姿だったそうだよ。
一人はトイレの中で焼け死んでいた。
トイレに入っている時、上から灯油を浴びせられたみたいでね。
ほら、よく聞くだろう。
いじめっ子が、個室に入った人に上から水をかけるやつ。
でも、彼女の場合は灯油だったんだよ。
そして、犯人はドアの下から流れてきた灯油に火をつけたのさ。
狭い個室の中はあっという間に火の海さ。
逃げようにも、焦っているのかなかなかドアを開けられない。
外に出たところで助かるわけでもないんだけどね。
そのまま、焼け死んでしまったんだよ。
むごい事をするよね。
でも、もう一人はもっと酷い死に方をしていたんだ。
灯油を無理やり飲まされてね。
口の中に火のついたマッチを入れられたんだ。
どういう事かわかるかい?
身体の中から焼かれるんだよ。
内臓に直接火をつけられてるわけだからね。
地獄だよ。
死体の顔は、凄まじい苦しみに歪んでいたんだって。
いったい誰がそんな事をしたんだろうね。
それで裏山の方の死体だけどね、かなり経った後に発見されたんだ。
動物に荒らされて、身元はわからなかった。
でね、裏山には死体が一つしかなかったそうなんだ。
そう、澄田さんと黒川さんどちらかは生きていたんだよ。
生きて彼女達に復讐したのさ。
自分が味わったのと同じ……もしかしたらそれ以上の苦しみを味わわせてね。
坂上君、君は二人の不良を焼き殺したのは誰だと思う?
おっと、今の質問には答えなくていいよ。
実はね。
この話を聞いて真犯人を当ててしまうと、彼女がその人を焼き殺しに来るらしいんだ。
この事は絶対新聞に書いておいてくれよ。
僕の話が原因で犠牲者が出るのなんてごめんだからね。

→4話目へ

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『中庭のヌシ』

はーーーーーーー全然ダメだね。
話にならない。
坂上君だっけ?
君もそんな満足げな顔してるんじゃないよ。
まさか君は今の話でいい記事が書けるとでも思っているのかい?
ダメだよそんな事では。
新聞に必要なものはなんだと思う?
……情報の正確さ?
違う違う。
新聞に必要なものといったらスクープに決まってるじゃないか。
ビッグでスペシャルでショッキングな特ダネさ。
さ、ついてきたまえ坂上君。
僕が取って置きのネタをつかませてあげよう。
あ、記事には「3年の風間先輩にこの話を紹介していただきました」って書くのを忘れるなよ

「ついたぞ」
風間先輩がそう言って立ち止まったのは中庭にある池の前だった。
「実はね……この中庭の池にはヌシがいるんだよ。
僕は今から君にヌシの姿を見せてあげよう。
この事を記事にすれば、新聞は大好評間違いなしさ
僕も女の子にモテモテに……おっと、無駄話はここまでだ。
さっそく始めようじゃないか。
えーっと、たしかこの辺りに罠をしかけたんだが……」
風間さんは池に手を突っ込むと罠を探し始めた。
少し待ってみるが、なかなか見つからない。
場所を変えたり、池の中を覗き込んだりしている。
もうだいぶ暗くなっているから探しづらいのかもしれない。
手伝った方がいいのだろうか。
そう思って僕が風間さんに近づいた時だった。
いきなり風間さんの背後に大きな人影が現れた。
「こらあ!
お前か! 池にいたずらをしたのは!」
用務員さんだった。
顔を真っ赤にして、カンカンに怒っている。
手には針金を組み合わせたようなガラクタを持っていた。
どうやら風間さんの言っていた罠とはこれの事のようだ。
「池にゴミを捨てるんじゃない!」

この場は謝っておいた方がいいだろう。
一応、この集まりの責任者は僕だし。
「すいません。
もう二度としませんから」
怒り狂う用務員さんに僕は何度も頭を下げた。
風間さんはいつの間にか他の人たちに混じって、ニコニコしながらこっちをみている。
なんなんだ、この人は。
ひたすら謝り続けて、お説教を受ける事数分。
なんとか許してもらえた。
「いやー、怖かったね。
ん? 君、怒っているのかい。
まぁ、いいじゃないか。
細かい事を気にしていると女の子にもてないぞ。
こうしてヌシを見る事もできたんだし、怒鳴られた事は水に流そうじゃないか。
え? なにを言っているかわからないって?
君こそなにを言っているんだい。
今の今までヌシがいたじゃないか。
用務員の主 正彦(ヌシ マサヒコ)さん
さ、早いとこ部室に戻ろうじゃないか。
この僕が蚊に刺されたりしたら一大事だからね。
次は誰が怖い話をしてくれるんだい?」

→5話目へ

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『調理実習室の鬼』

次は私が話すの?
私の名前は岩下明美。
3年生よ。

坂上君?
あなた、調理実習は好きかしら?
そう、好きなの。
女の子の手料理が食べられるからってところかしら?
ふふ、その顔は図星ね。
あら、照れなくてもいいのよ。
男の子なら誰でもそう思うわ。

これから私が話すのは調理実習室の話。
坂上君?
これを聞いた後でも、あなたは調理実習が好きでいられるかしら?

昔、私が入学するよりもずっと前の話よ。
ある夜、宿直の先生が調理実習室で物音がするのに気づいたの。
部屋の前に行ってみるとやはり中からなにか聞こえる。
扉の隙間から覗いてみた先生は見てしまったの。
こちらをじっと見つめている鬼をね。
鬼って言うとたくましい姿を想像するでしょう。
でも、そこにいたのはガリガリにやせた一つ目の怪物だったのよ。
赤い肌が骨に張り付いているかのようにやせ細っていたの。
鬼は先生の方にフラフラとよってきた。
「足りない……足りない……」
よだれを垂らした口からそんな言葉を漏らしながらね。
あまりの恐ろしさに先生はその場で気絶してしまったわ。
次の日、先生は調理台の上で寝かされているのが見つかったそうよ。
特に異常はなかったんだけど、それが原因で辞めてしまったの。

……あら?
坂上君、どうしたの、そんな顔して?
そうよね。
これだけじゃ、ちょっと物足りないわよね。
安心して、この話にはまだ続きがあるのよ。
私が1年の時、クラスメイトに里原真理子さんって人がいたの。
怖い話が好きな彼女はこの話を聞いた時ガッカリしたわ。
ちょうど今のあなたのようにね。
せっかくおもしろくなりそうだったのに、何もなしで終わってしまったんですもの。
先生が死んでいれば怖かったのに、なんて言っていたわ。
よく平気でそんな事言えるわよね。
もしかしてこの話を信じていなかったのかしら。
これだけでは物足りないと思った里原さんはその後どうしたと思う?

……勝手に話を付け足した?
なに?
坂上くんならそうするの?
人から聞いた本当の話に、嘘の話を混ぜるの?
ダメよ、そんな事をしては。
私は嘘が憎くて憎くてたまらないの。
もし私の話に変な小細工してみなさい。
あなたの事、呪ってやるから。
死ぬより恐ろしい目に合わせてあげるわよ。
ふふふふふふふふ……。
でも、私はできる事なら坂上くんを呪ったりしたくないの。
だから、記事には本当の事だけを書いてね。

すっかり話が逸れてしまったわね。
里原さんは自分でその鬼を見てみる事にしたのよ。
一緒にその話を聞いていたクラスの子がそう言い出したの。
名前は……確か、木見孝好くんだったかしら。
木見くんは彼女に言ったわ。
あんな話でも自分が体験してみれば怖いんじゃないかってね。
もし一人で行くのが怖いなら自分がついて行ってもいいって。
木見くんって里原さんの事が好きだったみたいなの。
デートに誘うような気でそう言い出したのね。
坂上くん、里原さんはどう答えたと思う?
……そう。
彼女は断ったわ。
せっかく怖い体験をしにいくのに一人きりじゃないとつまらないって。
木見くんについてこられても邪魔だって。
酷い言い方よね。
木見くんはなにも言わなかった。
それっきり黙りこんでしまったの。

その夜、里原さんは夜の学校に忍び込んだわ。
調理実習室に向かうと確かに中から物音が聞こえる。
彼女はドアの隙間から、そっと中を覗いてみたの。
確かに部屋の奥の方になにかいるのがわかったわ。
でも、暗くてよく見えない。
里原さんは静かにドアを開けるとそのなにかに近づいていったの。
机の影に隠れながらね。
そこにいるのは小さな鬼だった。
噂で聞いたようにガリガリに痩せていたわ。
背も低くて、まるで欠食児童みたいだった。
小鬼はその時、調理台でなにかをしていたのよ。
でも、暗くてよく見えなかったわ。
小鬼は包丁でとても大きな何かを切っているようだった。
里原さんは目を凝らして調理台の上を見つめたの。
そして、小鬼がなにをしているのかわかった瞬間、彼女は固まったわ。
調理台の上に転がっているのは木見くんだったの。
小鬼は木見くんの腕や足をさばいていたのよ。
魚をおろすように骨から肉を切り離していたの。
凍りついた里原さんはただその光景を見ているしかなかった。
いくら怖い話が好きとはいえ、女の子にはショックが強い光景よね。
鬼は淡々と木見くんの肉を包丁で切っていく。
時が止まったように彼女はそれを見ていたわ。
いったいどれほどの間、そうしていたのかしら。
台の上の木見くんが里原さんの方を見たの。
彼はまだ生きていたのよ。
手足を切り落とされていたけど、まだ頭と胴体は無傷だったの。
意識のあるまま、調理されていたのよ。
活け造りみたいにね。
木見くんは目が合った彼女に助けを求めたわ。
「助けてくれ!」
ってね。
当然、小鬼も里原さんに気づくわよね。
彼女の方に向かって来たわ。
赤い肌についた木見くんの血が、月明かりでぬるぬる光っていた。
里原さんは悲鳴を挙げて、その場から走り去ったわ。
彼女は木見くんを見捨てたのよ。

次の日、木見くんは冷蔵庫の中から見つかったわ。
骨が取り除かれて肉だけにされてね。
バラバラになって発見されたの。

あの日、木見くんは里原さんを脅かそうとしていたのよ。
先回りして、里原さんを調理室で待ち伏せしていたの。
酷い事を言った里原さんに復讐しようとしたわけじゃない。
ただ、彼女と仲良くなりたかっただけなのよ。
ちょっとビックリさせて、それがきっかけで親しくなれればって思っていたのね。
そこを小鬼に捕まってしまったの。
かわいそうな木見くん。
でも、おかげでこんなにも怖い話になったのだから、彼も満足しているんじゃないかしら。
ふふふ……。
もっとも、里原さんには刺激が強すぎたみたいだけどね。
それ以来、怪談話はてんでダメしまったそうよ。

そうそう、どうして先生が助かったのかを言い忘れていたわ。
先生の見回りは、ちょうど調理室の包丁を入れ替える日と重なっていたの。
あの夜、調理室には包丁が一本もなかったのよ。
だから、先生は助かったの。
そう、あの調理室の包丁は人の肉をさばいているものなの。
小鬼の犠牲になったのは木見くん以外にも何人かいるようだから。
たっぷりと血が染みてるんじゃないかしら。
ふふ……坂上くん、顔が青いわよ?
でも、大丈夫。
噂では小鬼には愛用の包丁があるらしいから。
人を切っているのはどれか一つだけって話よ。
当たりを引かないよう気をつけてね。

私?
私は調理実習で作った物には絶対に箸をつけないわよ。
だって、どれが小鬼の包丁なのか見分ける方法はないんですもの。

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『写真部のカメラ』

とうとう7人目は来ませんでしたね。
僕が最後ですか。
2年B組の荒井昭二です。
いやあ、さすが日野さんが集めた方たちですね。
僕もこの学校について調べてはいますが、まだこんなに恐ろしい話があったとは。
どうです、坂上君?
いい記事が書けそうですか?
僕の話もいい記事にしてくださいよ。
坂上君のために取って置きの話を用意したんですから。

実は僕、最初は日野さんの誘いを断っていたんです。
霊と僕たちとは別の世界の住人なんです。
関わらないに越した事はありません。
これから僕が話すのは野望のために霊に近づいた男の話です。
ちょうど今のあなたのようにね。

僕が1年の時の同級生に遠野大介君という生徒がいたんです。
遠野君は写真を撮るのが趣味でしてね。
写真部に所属していました。
なんでも今まで写真が趣味の人に会った事がないそうなんです。
たしかに、ちょっと珍しい趣味ですからね。
だから、クラスでもカメラの話はほとんどしませんでした。
もう話せる人を探すの諦めていたんでしょう。
そのぶん、彼は部活動には熱心に参加していました。
毎日、授業が終わるとうれしそうな顔をして部室に向かっていきましたよ。
当時、僕はサッカー部に入っていましてね。
厳しい練習で憂鬱な放課後を過ごしていた僕にとって彼はなんとも羨ましい存在でした。
実はサッカー部に関して僕が体験した話があるのですが……それはまたの機会にしましょう。

そうして楽しく活動していた遠野君だったのですが、ちょっとした事故で自分のカメラを壊してしまったんです。
あれはただの偶然だったのでしょうか。
それともこの学校の霊たちが起こした現象だったんでしょうか。
もう直せないほど酷い壊れ方だったそうです。
カメラなんて安い物ではありませんからね。
高校生である遠野君に新しいカメラを買えるようなお金はありませんでした。
部活にいけば友達がカメラを使わせてくれるものの、ずっと借りっぱなしというわけにもいきません。
せっかく高校で本格的に写真を取れると思った矢先のできごとで、遠野君はひどくガッカリしていましたよ。

そんな、ある日の事です。
遠野君は部室で古ぼけたポラロイドカメラを見つけました。
写真部の人たちに聞いても、そんなカメラは知らないと言われます。
そもそも写真部にはポラロイドカメラを使っている人がいなかったんです。
個人で持っている人は何人かいましたが、部活動で使っている人は誰ももいませんでした。
せっかく暗室で現像できるのに、もったいないですからね。
写真を撮れない毎日にストレスが溜まっていたからでしょうか、遠野君はそのカメラを自分の物にしてしまったんです。

彼は風景の写真を撮るのが好きでした。
遠野君は数週間ぶりに自分のカメラで写真を撮ったんです。。
誰に気兼ねする事もなく、好きなだけアングルを考えてから撮影しました。。
彼の写真生活の中でも格別の一時だったのではないでしょうか。
ところが、カメラから出てきた写真を見た途端、彼のそんな気持ちはどこかに吹き飛んでしまいました。
霊が写っていたのです。
あるはずのない場所に、人の横顔が覗いていました。
初めて見る心霊写真に遠野君はなんとも言い表しがたい嫌な気分になりました。
それでもまた別の場所に行って撮影をしたんです。
それだけ遠野君は写真が好きだったんでしょう。

ところが、次に撮った写真にも霊が写っていました。
今度は、それだけではありません。
写っていたはずの人が消えていたんです。
彼は校庭を撮影したのですが、そこで練習していたはずの運動部員が誰一人写っていなかったんです。
おかしいですよね?
もうそうなると写真どころではありません。
遠野君はカメラの事が気になってしかたなくなりました。
普通ならそんな気味の悪いカメラ手放してしまいそうですがね。
彼は何度か試して、そのカメラに不思議な特徴がある事を見つけたんです。
まず、そのカメラで人を写すとなぜか消えてしまう事。
そしてもう一つ、そのカメラで写真を撮るとかなりの確立で心霊写真が取れる事でした。
どうでしょう?
もしあなただったら、このカメラどうしますか?

……僕もそうすると思います。
そんな物を持っていて、いい事があるとは思えませんからね。
でも、遠野君は違いました。
そのカメラで写真を撮り続けたんです。
それだけ彼の写真に対する思いが熱かった?
たとえ変なカメラでも、写真を取れないよりはマシだった?
いいえ、違います。
彼はそうして撮影した心霊写真を他の生徒に売りつけ始めたんです。
心霊写真なんてそうそうお目にかかれるものではありませんからね。
多くの人が彼の写真を買い求めました。
その中には新聞部の生徒もいたそうです。
校内新聞の記事にでも使うつもりだったんでしょうか。
好奇心でそんな物を買ってはいけないとわからなかったんでしょうか……失礼、坂上君には関係のないことでしたね。
そうして遠野君はお金を集めていったんです。
この学校には生徒がたくさんいますからね。
客に困るような事はありませんでした。
僕ですか?
買ったりしませんよ。
むしろ彼に注意しました。
そんな霊を怒らせるような事はしない方がいいってね。
でも、遠野君は聞く耳をもちませんでした。
新しいカメラを買うまでだから、と言って写真を売り続けたのです。
あの時、もっと強く止めていれば遠野君は助かったのかもしれません。
でも、僕にはそうは思えないんです。
彼は既にその時、霊にとり憑かれていたように思えるんです。

遠野君は新しいカメラを買った後も、心霊写真を売り続けました。
いわゆる心霊スポットですか。
霊が良く撮れる場所も探し当てたようで、信じられないほどたくさんの霊が写っている写真も持っていましたよ。
彼は昼休みに写真を売った後、放課後になると新しいものを撮影していたんです。
そうして、1年が過ぎました。
遠野君は2年生になりました。
写真部にも新しい部員が入ってきます。
新入生達の中には高校生になってから写真を撮り始めるような子もいました。
まだカメラを持っていない彼らに練習させる際、遠野君は例のポラロイドカメラを使いました。
高いお金を出して買った自分のカメラを貸したくなかったのでしょう。
好きなものを撮るように言って、そのカメラを渡したんです。
すると後輩は遠野君の事を撮影したんですよ。
ちょっとしたいたずらのつもりだったんでしょうね。
写された遠野君は逆にその後輩の事を脅かしてやろうと思いました。
なにせ遠野君の姿は写らないんですからね。
なにも知らない後輩はさぞ驚く事でしょう。
案の定、写真を見た彼は不思議そうな声を出しました。
遠野君は心の中で笑いながら、後輩になにかおかしいところでもあるのかと聞きました。
そして後輩の手の中を覗き込んだんです。
ところが写真はちゃんと写っていたんですよ。
うっすらとではありますが、遠野君の姿が写っています。
彼は焦りました。
もしかしてカメラから不思議な力が消え始めているのではないか。
そうしたら、もう今までのようにお金を稼ぐ事はできなくなります。
彼はカメラの力を確かめようとしました。
部活動が終わったあと、彼が知っている中でも特に霊の集まる場所に向かったんです。
そこは旧校舎にある倉庫のような場所でした。
当時使っていたであろう道具なんかがたくさん置いてあったんです。
彼は暗くなり始めた校舎に入ると、その部屋でカメラを使ってみました。
現像した写真を確認するとくっきりと霊たちが写っています。
彼はほっと胸をなでおろしました。
しかし、妙な事に気づいたのです。
それまで撮った写真の霊たちは皆、好き勝手な方を向いていました。
ですが、今撮った写真ではどの霊も写真に対して正面を向いていたのです。
カメラ目線と言えばわかりやすいでしょうか。
なんとなくおかしくて遠野君は笑ってしまいました。
珍しい写真が取れたと喜んで帰ろうとした時です。
彼はある事実に気づいて戦慄しました。
霊たちがカメラの方を向いていたのは、自分の事を見ていたからではないか、とね。
青ざめた顔を上げると、目の前に無数の手が迫っています。
「わあああぁぁぁぁああああぁぁぁ!!」

遠野君はそのまま行方不明になりました。
旧校舎に入った後の足取りがまるでつかめないそうです。

魚眼カメラって知っていますか?
魚の目から見たような写真が取れるカメラの事だそうです。
僕が思うに、遠野君が持っていたカメラは霊の視界を再現するカメラだったのではないでしょうか。
ある説では、人から霊たちが見えないのと同じように、霊からは人の姿が見えないのではないかと言われています。
もしそうだとしたら、あのカメラに人が写らず心霊写真ばかりが取れた理由も説明できると思うんですよ。

霊の世界に近づきすぎた遠野君の姿を霊たちも見えるようになっていたのではないでしょうか。
そして遠野君は彼らの世界に引きずり込まれてしまったのではないでしょうか。

え?
そのカメラですか?
わかりません。
遠野君といっしょに消えてしまったんです。
でも、この学校では見覚えのないカメラが現れる事があるそうです。
誰も気づかないうちに、いつの間にか棚や机の上に置いてあるそうですよ。
遠野君が仲間を探しているのでしょうか。
もしかしたら、もともと霊たちが仲間を増やすために作り出した道具なのかもしれません。
ところで、坂上君。
そこの棚に置いてあるカメラは新聞部の物ですか?
僕がここに来た時、あんな物は置いてなかった気がするのですが……。

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『百話語』

集まった6人の視線が僕に集まっている。
皆、責任者の締めの言葉を待っているのだ。
僕は少し咳払いをして立ち上がった。
すると――
コンコン
誰かがドアをノックした。
誰だろう? そう思うのとほぼ同時にドアが開かれる。
軋んだ音を立てるドアの影から、女生徒がそっとこちらを覗き込んだ。
「倉田さん?」
そこにいたのは僕のクラスメイトでありクラブメイトでもある倉田恵美さんだった。
どうして倉田さんがここにいるのだろう?
この取材は僕だけがするはずだったのに。
部室に入ってきた倉田さんは、その場で頭を下げる。
「すいません。こんなに遅れてしまって……」
遅れてしまった?
どういう事だ?
僕がなにも言わないでいると、新堂さんが彼女に話しかけた。
「もしかして、お前が7人目なのか?」
「はい、日野さんに頼まれて、今日ここで怖い話をするはずだったのですが……」
倉田さんが7人目だったのか。
「でも、どうしてこんなに遅れたの?」
岩下さんが険のある厳しい目を彼女に向ける。
倉田さんは僕の方をチラチラと見ながら、言いにくそうに答えた。
「その……今日の集まりが中止になると思っていて」
「中止? どうして」
なおも続く岩下さんの言葉に倉田さんは黙り込んでしまった。
「まあまあ、いいじゃないですか。
それより、せっかくなんだから彼女の話も聞きましょうよ。
いいよね、坂上君?」
細田さんがやんわりとした声で場を取り持つ。
「はい、もちろんです」
怖い話がもう1話聞ける。
僕としては願ったりかなったりだ。
倉田さんは空いている席に座ると、全員の顔を見回してから話し始めた。

1年E組の倉田恵美です。
今日は遅れてしまって本当にすいません。
私が話すのは新聞部にまつわる怖い話です。

坂上君、百物語は知ってるよね。
そう、ロウソク100本用意してみんなで怖い話をするやつ。
でも、アレって実行しようとするとかなり厳しくないかな。
たった1晩で100話も話さなきゃいけないんだよ。
6人話しただけでもこんな時間なのに100人なんて無理だよね。

でね、実はこの学校には、ちょっと変わった百物語が伝わっているの。
百話語っていってね。
百物語は何人もの人が一晩でやるでしょう。
百話語りは一人で何日もかけてするの。
用意するのは、怖い話の本100冊。
1冊丸々使った長い話じゃなくて、短い話がたくさん入った本の方がいいかな。
それと、人の形に切った紙。
紙には自分の髪の毛を貼り付けるの。
あとは夜になってから本を読むだけ。
声に出して音読するの。
簡単でしょ?
え?
簡単だけど手間がかかるのは変わらない?
そうだよね。
だから、この話を知った人でも試した人はほとんどいなかったの。
でも、昔、新聞部の部員で百話語りを試した人がいるんだよ。
名前は……えーと……思い出せないから坂上君でいいかな?
いいよね?
坂上君が新聞部にいた時にもちょうど怖い話の特集があったの。
その特集の担当が彼だったんだって。
それでね、坂上君がスクープ欲しさに手を出したのが百話語りだったんだ。
ほら、うちの学校の図書室ってすごく大きいでしょ。
怖い話の本100冊なんて簡単に集まったの。
それがこの学校に百話語りが伝わった理由なのかもね。
坂上君は、あらかじめ窓の鍵を開けておいて、夜の学校に忍び込んだ。
暗くなってからじゃないと、百話語りはできないから。
そして、昼のうちに見つけておいた怖い話の本を小さな声で読み始めたの。
夜の学校ってとても不気味でしょ。
昼はにぎやかなのに、シンとしてて。
ものすごく広い空間が真っ暗だから、自分の回り全てが闇に包まれているの。
そんな所で怖い話を読むんだよ。
宿直の先生に見つかっちゃいけないから、電気はつけられない。
想像しただけでも怖いよね。
でも、坂上君は百話語りを続けた。
怖くなかったわけじゃない。
それほどスクープが欲しかったんだよ。
なんでも、怖い話の特集は坂上君が初めて任された企画だったんだって。
だから、なんとしてもいい記事を書きたかったの。
そうして1日目の儀式が終わった。
そう、百話語りは立派な儀式なの。
遊びじゃないんだよ。
帰る時、坂上君は人型の紙を本に挟んでおいたわ。
そうそう、さっき言い忘れてたね。
切った紙は、最後に読んだ本に挟んでおくの。
理由はわからないけど、その紙が話す人を守ってくれるんだって。
次の日、坂上君はまた暗くなった校舎に忍び込んだわ。
図書室に着いた彼は、まず昨日の本に挟んだ紙を抜いたの。
……紙は破られていたわ。
ちょうどお腹の所で真っ二つになるように。
セロテープで貼られた髪の毛だけが、上半身と下半身をつないでいたの。
誰かのいたずら?
でも、もし霊の仕業だとしたら?
坂上君は怖くなったわ。
自分の背後に何かがいるんじゃないか。
右の本棚の影から誰かが覗いてる?
左のドアの隙間から誰かがこちらを見ている?
方向もわからない。
数もわからない。
でも、誰かの視線だけは感じた。
坂上君は帰りたくてたまらなかったわ。
昼には何て事のない図書室が、まったく別の空間に変わっていた。
でも、彼はその日も百話語りを始めたの。
これはすごい体験ができるかもしれない。
そうすれば、きっと怖い記事が書けるに違いないってね。
それからの夜も坂上君は夜の図書室に忍び込み続けた。
特に恐ろしい事は起こらなかったわ。
でもね、人型だけはどんどん破られていったの。
右手がなくなり、左手がなくなり、今度は足。
毎日、少しずつどこかが破り取られていった。
もし、この紙がなくなった時、百話語りが終わっていなかったらどうなるのだろう?
そう考えると止める事はできなかった。
それに、やっぱりいい記事を書いてみんなに認められたかった。
そうして何日か経ったある日の夜。
とうとう坂上君は百話目を読み終えたの。
坂上君は本を閉じて何かが起きるのを待った。
でも、なにも起きなかったわ。
図書室の中は静かなものだった。
坂上君の声すらしなくなって、なんの音も聞こえなかった。
こんなに頑張ったのにガセネタだったのか。
坂上君はガッカリして帰り支度を始めたわ。
きっと人型が破れていったのも誰かのいたずらにちがいない。
そんな事を考えながら本を棚に戻そうとしたの。
本は入らなかった。
押しても棚に入っていかないの。
もともと、ちょっときつめにしまってあったのね。
坂上君は背表紙に手をあてて、本を力いっぱい押し込んだ。
ぶちゅ。
何かがつぶれる嫌な感触が伝わってきた。
腐ってグズグズになった果物を潰したような、そんな感覚。
本の下から赤いヌルヌルとしたなにかが流れ出していた。
血の臭いがしたわ。
自分は何を潰してしまったのか?
本棚の奥にはなにがあったのか?
坂上君は本を取り出して確かめたい衝動に駆られたわ。
そっと本の上の方を持って引っ張ってみたの。
本を引き抜いた瞬間、中に溜まっていた血が流れ出てきた。
ドロッとした液体が流れ落ちて、ビシャビシャと床にたまりを作った。
坂上君はちょっと驚いたけど、勇気を振り絞って棚の中を覗いてみたの。
でも、そこにはなにもなかった。
棚や本は赤く汚れているけど、他に変わった所はなかったの。
いったいこの血はなんなのか。
坂上君はだんだん怖くなってきた。
棚の奥さえ見ればわかるはずだった血の正体が、自分の想像を超えた何かだとわかったのね。
早く本を片付けて帰ろうとしたの。
でも、本は彼の手を離れなかった。
いつのまにか坂上君の手は本に挟みこまれていたの。
開いた隙間からは血が流れ続けていたわ。
「わあああーーー!!」
坂上君は悲鳴を挙げて本を振り払おうとしたわ。
手に痛みはなかった。
でも、坂上君にはそれが余計に怖かったの。
自分のじゃなかったら、本から流れているのは誰の血なの?
本は坂上君の手を挟んだまま離れない。
その時、彼は見たのよ。
いつの間にか棚の本という本から血が流れ出ているのを……。

次の日の朝、坂上君が図書室で倒れているのが見つかったわ。
すぐに病院に運ばれて、命に別状はなかった。
手も特にケガとかはしてなかったわ。
でも、彼の意識は戻らなかったの。
意識不明のままだったのよ。
医者にも原因はわからなかった。
彼は植物状態になってしまったのよ。
坂上君になにがあったのかしら?

ところで坂上君、これっていつごろの話だと思う?
何年も前?
……実はこの話、昨日の事なんだ。
坂上君、私、知ってるんだよ。
今朝、救急車で病院に運ばれていったよね。
だから私はこの集まりが中止になると思ったの。
坂上君、どうしてあなたはここにいるの?
あなたは本当に坂上君なの?


室内にいる全員が僕を見ている。
僕の次の言葉を待っている。
「では、次の方お願いします」
「おい、ちょっと待てよ」
次の語り手を指名しようとする僕を止める人がいた。
新堂さんだ。
「坂上……今の倉田の話は本当なのか?
なんでなにも言わないんだよ?」
口調こそ強い物だったが、その声には怯えが混じっていた。
「倉田さん」
僕に名指しされて彼女はビクリと身を震わせた。
「その百話語りだけど、大事なところが抜けているよ。
百話語りで集まってきた幽霊には、また別の話を100話聞かせなきゃいけないんだ。
今度は本に頼っちゃいけない。
自力で語らなければいけない。
彼らは僕らが怖い話を続ける事で仲間を呼び寄せようとするのさ。
ほら、怖い話をすると霊が寄ってくるって言うよね?
でも、怖い話を続けるだけで呼べる霊の数なんてたかがしれてる。
その事を集まった霊にわからせなきゃいけない。
もうこれ以上怖い話を続けても仲間は来ないと教えなきゃいけない。
そのために、もう100話語らなきゃいけないんだ。
もしできなかった場合、儀式に参加した者は彼らの仲間にされてしまう。
多分、人型にされていたのと同じ事が僕の身体でされるんだと思う。
どう?
この部分は知ってた?」
僕の問いに倉田さんは首を横に振った。
必要以上に強いそのしぐさに彼女の緊張が伺えた。
「やっぱり知らなかったんだ?
僕も知らなかったよ。
もしかして、この儀式を試した人は全員、死んじゃってるんじゃないかな。
だから、この部分が伝わらなかった」
「坂上君」
荒井さんがつぶやいた。
「この部屋に異様な空気が満ちている気はしていました……。
あなたのものだったんですね」
荒井さんは気づいていたのか。
でも、もう遅い。
「僕は怖い話が苦手でしてね。
知っている話なんて10もありません。
だから、この集まりを利用させてもらったんです。
僕の変わりに皆さんに怖い話をしてもらったんですよ。
もちろん、まだ100話にはたりませんけどね」
だからまだ話を続けてもらう、言外に僕が含めた意味に岩下さんが席を立った。
「どうして私たちがそんな事をしなきゃいけないの?
呪われたのはあなたなんでしょう?
私は帰るわよ」
声に不機嫌さがにじみ出ている。
「残念ですが、霊に話を聞かせてしまった時点でこの儀式の参加者をみなされてしまうんです。
だから呪われているのは僕だけじゃありません。
荒井さんも細田さんも新堂さんも倉田さんも福沢さんもみんな呪われてしまったんですよ。
ああ、風間さん。
もしかしたらあなたは大丈夫かもしれませんけどね。
呪われているか確かめたいなら、このまま帰ってみるのもいいかもしれませんよ?
もちろん岩下さんも。
5人でも怖い話は続けられますからね。
ただ、もし100話揃わなかったら……この場にいる全員が死ぬ事になりますよ」
僕の言葉を聞いている間、岩下さんはずっと僕の事をにらんでいた。
そして、僕の話が終わると、彼女は僕をにらみつけながらもイスに座った。
この部屋に漂う異常な気配が、僕の言葉を証明したのかもしれない。
「では、次の方お願いします」
こうして、7人目の語り手を迎えての、学校であった怖い話が始まった。

――そして恐怖は繰り返す――

→あとがきへ

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 『学校で聞いた怖い話』はバンプレスト(現バンダイナムコゲームス)より発売された『学校であった怖い話S』を元にした二次創作小説です。
学校であった怖い話R』様に触発され書き上げました。
あちらと比べると非常につたない作品ではありますが、最後までお付き合いいただけた事に感謝します。
さて、本作は“学怖の世界に新しい怪談を加える”というテーマで執筆しました。学校であった怖い話に登場はするけれど何も語られる事のない場所。そこに新たなエピソードを加えようというのがコンセプトです。

 食堂の小ビン…初めは粉の正体が人骨というオチでしたが、こっちの方がおもしろいんじゃないかと思って変更しました。食堂は細田3話目『絶対トイレに行かない男』や風間2話目『ひとり七不思議』で登場します。

 旧校舎の殺人階段…最初は新校舎の話だったのですが、さすがにそれだと犠牲者が増えすぎるという事で旧校舎に変更しました。旧校舎の階段は新堂1話目『霊界へ続く旧校舎の鏡』と福沢4話目『旧校舎の十三階段』で登場します。

 綺麗好きな澄田さん…霊感があるせいか幽霊関係の話ばかりする細田に、サイコな話を語らせようと書き始めました。トイレの個室に上からバケツの水を流すいじめ、その水が灯油だったら…という発想からここまで話が膨れ上がりました。ちなみに犯人云々は書いてる途中に思いついたネタで、正解は考えてありません。各話の最初の字を拾って読むと犯人がわかる、とかも考えましたが実行せず。体育館脇のトイレは細田5話目『動物霊の棲む体育館脇のトイレ』で登場します。女子トイレは虫ルートで少し出るだけですが。

 中庭のヌシ…最後、帰ろうとする坂上達の背後で異様に大きな水の音が…というオチも考えたのですが、話のテンポを良くするためここで区切りました。中庭の池は細田5話目で登場します。

 調理実習室の鬼…他の材料が足りないから小鬼は何も食べられず、せっかく取った肉も腐らせてしまうという裏設定もとい没ネタがあります。小鬼が何匹もいるようにしたり、上記没ネタのために食材がなくなる話を入れようとしたり、ネズミ捕りのネズミがいなくなる(小鬼の仕業)など、色々試行錯誤させられましたが、着地点だけは最初から狙ったとおりにできた作品です。調理実習室は福沢1話目『同級生・早苗の奇怪な行動』にチラッと出てきます。

 写真部のカメラ…最初に思いついた話でもあり、一番の自信作でもあります。新聞部室のカメラはSFC版の背景に登場します。ちなみに、本作のテーマを思いついたのもこの時です。たまたまSFC版の画面を見る機会があり、“じゃあ、ゲームに登場するけど怪談の語られない場所を扱っていこう”と思いつきました。

 百話語…なんで倉田が坂上の末路を知っているのか、という部分については学怖のお約束と言う事で一つ。ちょっと冗長すぎるかな、という印象がありますが、最終話という事でドーンといきました。図書室は新堂6話目『最後の審判』で登場します。これを考えた後、2chレトロゲー版の百物語を見まして…あちらのできの良さに惚れ惚れさせられました。私も結構頑張ったんですがね…。

最後に、お読みいただきました皆様に改めてお礼を申し上げます。

ありがとうございました。

 

 

 

ああ、そうそう。

私は7話語りましたのであと93話、皆さんでちゃんとお願いしますね。

では…。

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2chのレトロゲーム板にあるスレッド『学校であった怖い話ってどうよ』にあった語り手を模した読み物(?)を以下の条件でまとめました。

学校であった怖い話の二次創作として語り手を意識したものだけを抜粋。
掲示板の雰囲気を残すため、感想はほぼ番号順に。
シナリオの感想である事が明確でないものは除外。
同時進行で攻略について質問をしていた方がおり、それについての会話が含まれる物を除外。

では、お楽しみください。

379 名前: ここまでを少しまとめてみました 投稿日: 2001/05/23(水) 03:07 ID:???
「追加シナリオ」 >>300-301
「人形再び」    >>303,>>310-312
「トイレの神様」  >>319-320
「隣の死神」    >>333,>>341-342,>>352-353,>>361
「100のシナリオ」>>358-359
「呪いの儀式」   >>370-373

タイトルは私が勝手に付けました。
でもね、おばあちゃんがこうしろって言ったの。
だから絶対間違いないわ。

安心して。

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297 名前: 学校であった初心者 投稿日: 2001/05/18(金) 19:12 ID:s6fMAm4w
ここのスレッドで面白そうだと思って、今日、バイトのお金で
スーファミJrを買い、ローソンで「学校であった怖い話」を
書換えてきました。
プレステは持っていますがプレステ版はなかったです。
生まれて始めて自分で買うスーパーファミコンとゲームだけに
楽しみです。
今日は暑いから怖いゲームはちょうどいいです。
今からスタートします。質問させてもらうかもしれないので
暇だったら誰かアドバイスお願いします。

300 名前: >>297 投稿日: 2001/05/19(土) 03:35 ID:???
そのゲーム、プレイしない方がいい。
なぜならそのゲームには、まだどの攻略本にも載っていない
「呪われた隠しシナリオ」が入っているかも知れないんだよ。

かも知れない、というのには理由があってね。
実はニンテンドウパワーに収録が決まったとき、あるディレクターが
新シナリオを追加したらどうかと言い出したんだ。

もちろん隠しシナリオとしてね。
元々驚かしてナンボなゲームだから、どの攻略本にも
載っていないシナリオなんか出た日にゃみんな驚くだろう?
スタッフ一同乗り気で新シナリオを作りだしたんだ。

だけどやはり納期が短くてね。
とても最終テストまで間に合わなくて、お蔵入りが決まったんだよ。
任天堂には、市販されたものをそのまま納める事になったんだ。

元々間に合わないことがわかっていれば、この企画が
立ちあがる前にやろうとも思わなかったはずなんだけど、
言い出しっぺのディレクターがすごい入れ込みようでね。
その熱意だけで押されて始まったような企画だったんだ。

結局、そのディレクターのシナリオが間に合わないのが原因で
お蔵入りになったんだけど…
やはりそのディレクターが黙って納得するはずがなかった。

任天堂に納めるロムに、まだテストが完了していないそのロムと
すりかえて納めてしまったんだよ。

しばらくしてその事が発覚して、慌てて市販されたものと同じロムを
納めなおしたんだけど、どうやら既に幾つかの店舗には入ってしまったらしくてね。
仕方なくそのロムの動作確認を行うことになったんだ。

とにかく分岐の条件が複雑なので、多くのテスターが導入されてのテストとなった。
俺はその時のテスターの一人だったってわけさ。


301 名前: 続き 投稿日: 2001/05/19(土) 03:36 ID:???
こんな騒ぎを起こした張本人であるディレクターがどうしているかって?
それが、事件が発覚する前に辞めてしまったんだよ。

何の資料も残さずいなくなってしまったもんだから、新シナリオの出し方どころかそんなものが本当に入っているのかさえわからない状況だった。
まさか世に出るとは誰も思っていなかったし、納期もギリギリだったから
仕方がないと言えば仕方のないことだったのかもしれない、と思っていたよ。
…あんな事件が起きてしまうまではね。

その事件が起きたのは、テストを始めてから4日後の深夜だった。
テスターたちは、状況が状況だけに不眠不休でのテストを強いられていたんだが、それが4日も続いてしまうとさすがにみんな意識が朦朧としてきてしまってね。
俺自身も舌が回らなくなっていたし、視力も大分弱ってきていた。

そんな中、少し離れた席にいたやつが突然奇声のようなものを発して倒れてしまったんだ。
この状況じゃいつ人が倒れてもおかしくない。そう思っていたんだが、
そいつのテストしていた画面に、見た事もない不気味な顔が映っていたんだ。

一気に目が醒めた俺は、早速メーカーの人間を呼びだした。
それが隠しシナリオだったかどうかわからなかったが、とにかくヤバイと直感的に感じたんだ。
少ししてメーカーの人間が現れ、その画面を見て声をあげた。

テストはそこで打ち切りとなり、全店舗でニンテンドウパワーのサービスを停止させて、丸ごとデータを書き換えることに決まったらしい。
さすがに詳しい事情は公開しなかったようだけどね。

後でわかったことなんだが、あの不気味な顔は辞めたディレクターの顔にそっくりだったそうだ。
案の定というべきか、そのディレクターは既に自殺していたよ。
テスト中に倒れたテスターがその後どうなったかは知らないが
あまりいい結末は期待できないよな。

もし、攻略本に載っていない話が始まったら気を付けた方がいい。
その呪われたシナリオは、バッドエンドしかないのだから。

以上で俺の話は終りだ。次は誰が話してくれるんだい?


302 名前: NAME OVER 投稿日: 2001/05/19(土) 07:15 ID:???
あ、ウソだから信じるなよ。

309 名前: NAME OVER 投稿日: 2001/05/19(土) 17:42 ID:???
>>300~301
は天才だと思う。

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